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婚礼・ブライダル 2024.8.28 配信

コロナ禍で婚礼客の意識が大激変! 求められる結婚式場運営会社の経営方針と運営スタイル

コロナ禍で婚礼客の意識が大激変! 求められる結婚式場運営会社の経営方針と運営スタイル

迅速な変革が求められる婚礼業界


婚礼業界が変革の時を迎えています。参加人数を増やして婚礼単価を上げるという、従来のやり方が通用しなくなったのです。これはコロナ禍をきっかけとしてゲストの人数が激変し、その尾を引いているもの。今のところ、コロナ前に回復する兆しはありません。

 

親しい人だけで結婚式を行うという意識が根づきつつあるため、婚礼客は自分たちらしいプランを求めるようになりました。形式的な挙式・披露宴では満足できなくなっているのです。

オリジナルウエディングはコロナ前からブームの兆しがありましたが、小人数化したことで拍車がかかりました。

結婚式場運営会社の経営難易度は上がっています。

 

最新のブライダル事情を解説します。

ゲスト1名当たりの単価は1.2倍に増加


リクルートのブライダル総研によると、2023年の平均招待客人数は49.8人。前年比で13.2%(6人)増加しているものの、2019年比で21.6%(14人)も減少しています。2023年は「まん延防止等重点措置」が解除され、人々は日常を取り戻しました。それにもかかわらず、回復は緩やかなのです。小人数化が定着しつつあります。

 

人数が減少しているため、婚礼単価も下がっています。2023年は356万3000円。前年比で2.6%(9万円)増加していますが、2019年比では5.7%(21.6万円)減少しています。

※「ゼクシィ結婚トレンド調査」より筆者作成

 

注目したいのは、人数の減少幅がそのまま単価減に結びついていないこと。つまり、ゲスト1人当たりの単価は大幅に上昇しているのです。2019年の1人当たりの単価は6.0万円でした。2023年は7.2万円。1.2倍に増加しています。

 

結婚式場は会場使用料(席料・宴席料)が固定費としてかかるケースが多いため、ゲスト1名当たりの単価は高くなりがち。

それだけに、特定の宴会場を使ってカップルが思い描く結婚式の形を提案できるかどうかが重要。つまり、カップルにとって費用対効果が高いと感じるプランニングができなければ、選択してもらえないようになっているのです。

業界最大手の営業利益率がコロナ禍を経て急改善


この時代の変化や消費者意識を上手く掬い取れるかどうかが、経営のポイント。それは当然、業績にも反映されます。

業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは2019年3月期の営業利益率が6.4%でした。2024年3月期は8.9%。3.5ポイントも上昇しています。

原価率は36.9%から33.4%に低下。昨今の物価高から、仕入価格が下がったとは考えづらいでしょう。単価を引き上げたことによって原価を下げ、利益率の底上げを図ったと見ることができるのです。

 

テイクアンドギヴ・ニーズは早い段階からオリジナルウエディングを取り入れ、提案力を高めていました。一軒家貸切型のハウスウエディングが主軸で、カップルの要望をかなえやすい店舗特性もあります。

長い時間をかけて取り組んだ成果が、時代のニーズとマッチした事例だと言えます。

好立地という条件だけで人が集まっていた結婚式場は危険


好調な結婚式場がある一方で、苦戦が目立つケースもあります。

 

苦戦している結婚式場でよくあるパターンが、好立地という条件で集客できていた施設。ターミナル駅の近くや、駅ビルなどに出店し、立地が集客フックとなっていた場合、提案力がどうしても弱くなりがちです。

こうした事業者はウエディングプランナーの育成が得意ではなく、提案力向上の取り組みへの理解に欠けていることもしばしば。映像演出や衣装、インテリアなどのハード面ばかりに気を取られ、カップルのニーズを汲み取る方法やプランニングの精度を高めるノウハウの構築に目が向きません。

外部のコンサルティングに立て直しを丸投げして成果が出ずに終ってしまうことも少なくないのです。

 

郊外や地方の結婚式場で、ゲストを増やすことだけで単価アップを図っていた事業者の苦戦も目立ちます。コロナ禍を経た今、その手法は通用しません。「会社の上司も呼んだ方がいい」などという婚礼業界の常識を持ち込んで単価を引き上げるのではなく、カップルの満足度を高める取り組みが不可欠なのです。

突然の破産で多くのカップルが涙を流すことに…


結婚式場運営会社の倒産も目立ち始めました。

 

愛知県内で結婚式場を運営していたグラヴィスが2023年7月に事業を停止。自己破産申請の準備に入りました。この会社はカフェや料理店の運営からレストランウエディングへと移行した経営があります。そのため、都市部繁華街型の施設を中心に運営していました。

負債総額は15億円。契約したのに結婚式を挙げることができないカップルがテレビで取り上げられ、大きな話題となりました。

 

広島県のJR矢賀駅近くという好立地にあった結婚式場を運営していたシャインも2023年8月に破産開始決定を受けました。負債総額は14億円。コロナ禍を機に集客が伸びず、資金繰りが悪化したといいます。

 

新型コロナウイルス感染拡大という激動の時代を生き抜いた多くの結婚式場は、変化のスピードについていくのが困難な状況にあります。

廃業を考えているのであれば、まずM&Aを検討してください。

 

世間のイメージを大切にする結婚式場は、業績が悪化した決算書の開示をためらうことがあります。それが会社の譲渡を阻害する要因にもなっているのです。

しかし、事業を継続して顧客や従業員、取引先を守ることが何よりも大切なはず。M&Aはその手段として極めて有効です。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。