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M&A一般 2023.9.6 配信

M&Aの税対策は可能?相続税と事業承継税制の基礎知識

M&Aの税対策は可能?相続税と事業承継税制の基礎知識

相続税とはどのようなものなのか?


相続税は亡くなった人から財産を引き継ぐ、遺言に従って財産を得る場合にかかる税金です。

税率は以下のようになっています。

 

1,000万円まで:10%
3,000万円まで:15%
5,000万円まで:20%
1億円まで:30%
2億円まで:40%
3億円まで:45%
6億円まで:50%
6億円を超えた場合:55%

 

ただし、非課税となる財産もあります。相続税について詳しく見てみましょう。

相続税の計算方法


課税対象、非課税対象になるものに、以下のようなものがあります。

 

【課税対象】
預貯金、株式、債券、不動産(土地・建物)、美術品、保険金(死亡保険金等)、相続開始3年以内に贈与された財産など

 

【非課税対象】
墓地・墓石、宗教や公益目的で使用される財産(公益財団法人等)、幼稚園事業で使用していた財産など

 

相続税の計算は、まず各人の課税価格の合計額からその遺産にかかる基礎控除額を控除します。法定相続分に応じて計算された各取得金額につき、超過累進税率を適用します。各人が納付すべき相続税額の計算方法は、相続税額の総額を按分し、その金額から税金控除額を差引いた金額となります。

具体的な計算式は以下のようになります。

計算式1.相続財産-非課税財産=遺産総額
計算式2.遺産総額-(債務+葬式費用)+生前贈与加算=課税価格
計算式3.課税総額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額
計算式4.法定相続人の法定相続分×税率=各人の相続税額(各人の相続税額の合計が相続税の総額(A))
計算式5. (A)×各人の課税価格/課税価格の合計額=各人の取得財産に応じた相続税額

 

相続税の節税という観点では、財産の価値として適正な価格を、いくらで確定させるかが重要です。

例えば、相続する遺産に使用されにくい土地があったとします。その土地は公示価格ではなく、相当の評価減を行った価格を使うことが課税上妥当であるとされることもあります。

相続税の注意点


相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月までと定められています。相続人の住所を管轄する税務署に期間内に必ず申告してください。遅れると加算・延滞税が課されることがあります。

 

二次相続を見据えた検討を行うことも重要です。二次相続とは、財産の所有者が亡くなり、(パートナーなど)被相続人が遺産を相続したものの、その後すぐに被相続人が死亡して、別の相続人(子供など)が相続することです。

この場合、相続税基礎控除が減少し、相続税の配偶者の税額軽減を適用できません。一次相続の場合よりも相続税の負担が増える可能性があるのです。

二次相続対策として、以下のようなものがあります。

 

1.生前贈与を行う
2.配偶者の資産を増やさない
3.生命保険を活用する
4.子どもに実家を相続させる
5.相続をする場合の財産の種類を変更する
6.相次相続控除による優待規定を利用する

 

配偶者の一次相続における相続財産を少なくすることが、二次相続対策としては有効です。

株式を相続したときの相続税率は?


株式も財産であり、所有者から相続人の手に渡るのであれば、相続税の対象となります。

株式の相続税の計算方法は、上場・非上場で大きく異なります。

 

上場株式の場合、公開されているために終値で計算できます。証券会社に連絡を入れ、残高証明書を発行してもらいます。相続税を計算する際は、当月・前月・前々月における株価終値の平均額の中で、最も低い株式の価格を用います。

この計算は証券会社にやってもらうのが確実でしょう。

 

非上場株式の場合、その価値を算出するのが容易ではありません。通常は会計士や税理士などに協力してもらい、評価額を算出してもらいます。

 

株式を相続したら、証券会社(上場株)か発行会社(非上場株)で名義変更を行います。

もし、株式の相続を放棄したい場合は、すべての相続人で遺産分割協議を行い、株式以外の財産を相続することへの合意を得る必要があります。

現金化して相続することも可能です。上場株は名義変更を行えば、売却ができます。非上場の場合は株主を見つけて買取請求を行いましょう。

事業承継で税の猶予や免除が受けられる特例事業承継税制とは?


中小企業の事業承継の推進を目的として、税負担を軽くしているのが特例事業承継税制です。この制度を利用すると、相続や贈与で得た株式等について、相続・贈与税が100%猶予されます。

 

ただし、法人版事業承継税制は2027年12月31日まで、個人版事業承継税制は2028年12月31日までに、それぞれ相続を受ける必要があります。この期限を過ぎると、適用されないので注意が必要です。

また、会社や個人が作成して認定経営革新等支援機関が所見を記載した特例承継計画を期限内に提出しなければなりません。現行法においては、特例承継計画、個人事業承継計画ともに2024年3月31日までに提出しなければなりません。

なお、特例承継計画の提出期限は2023年3月31日まででしたが、1年延長されました。

 

適用された後は、1年に1回都道府県庁に「年次報告書」、税務署には「継続届出書」を提出する義務があります。

手続きは煩雑ですが、事業を承継した経営者にとっては価値の高い制度でしょう。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。