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IT・通信・システム開発 2023.7.4 配信

新規参入が相次ぐスリープテックとは?サイバーダインが参入した理由

新規参入が相次ぐスリープテックとは?サイバーダインが参入した理由

市場規模100億円突破が見込まれる有望市場


スリープテックという言葉を耳にしたことがあるかもしれません。これは睡眠とテクノロジーを組み合わせた造語で、アプリやセンサーなどを通して活動データを収集。睡眠状態を可視化して、睡眠の質を改善することを指します。

睡眠状態を定点計測し、心拍数や脳波、呼吸などから、睡眠のあるべき状態へと導くアドバイスツールなどが該当します。

 

スリープテックはその周辺の産業にも波及しており、空調機器、家具、照明、オーディオなどと連動させ、深い睡眠作業を及ぼす実験が行われています。

 

2025年には、市場規模が100億円に達すると言われている有望な市場の一つです。2020年は30億円ほどでした。

矢野経済研究所「スリープテック市場に関する調査を実施(2022年)

 

スリープテックについて、詳しく解説します。

サイバーダインはなぜスリープテックに参入したのか


2021年8月にパワードスーツやロボットスーツなどを開発するサイバーダインが、スマホアプリ『熟睡アラーム』を開発するC2社を買収しました。

 

このアプリはスマートフォンのセンサーを使って睡眠中の体の動きを計測し、睡眠状態を推測。アラーム時刻前の睡眠が浅いと判定されたタイミングで、アラームを鳴らすことができるという『スマートアラーム』が特徴です。

この機能により、すっきりとした目覚めが期待できます。このサービスは、一見するとロボットを開発するサイバーダインとの関連は薄いように見えます。

 

ポイントはC2がユーザーの睡眠記録を保存していること。このアプリにはクラウドサービスがあり、記録をPCでチェックしたり、デバイスの機種変更を行ってもデータを引き継げる仕様になっています。

サイバーダインが買収した当時、データの数は7,500万件以上にもなっていました。

 

サイバーダインはロボット以外にも、バイタルセンシングの開発を行っています。バイタルセンシングとは人の心拍数や血圧、呼吸などを計測し、メンタル面でのサポートを行うもの。多くはウエラブル端末に組み込み、生活の邪魔にならない配慮がなされます。

 

サイバーダインは、睡眠のデータを数多く取得することにより、バイタルセンシングの精度や機能を飛躍的に向上させることができます。

 

スリープテックはスマートフォンのアプリなどに活用されていますが、今後はメガネやヘッドホンなど、ウエラブル端末に移行する可能性があります。欧米ではすでに定着している技術です。

海外のスリープテック関連企業とサービスを紹介


この分野で先行している海外の企業を紹介します。

 

有名なのがアメリカのWhoop。この会社は、リストバンド型の端末を使って運動や睡眠の指標を追いかけるサブスクリプションサービスを提供しています。2021年9月に250億ドルを調達しました。

運動や睡眠を最適化するアドバイスを行っており、当初はアスリートやフィットネスの愛好家がターゲットでした。それがやがて一般の人々にも浸透しました。特にコロナ禍で運動不足が慢性化した後、健康状態を気にしてウエラブル端末を手にする人が増えたと言われています。

 

フィンランドのOURAは、指輪型の小型デバイスを開発しました。高度なセンサーが取り付けられており、心拍数や呼吸、睡眠の深さなどを計測できます。小型デバイスのため、入浴や激しい運動でも気にならないという特徴があります。

OURAは活動拠点をシリコンバレーに移して以来、100億円以上の資金調達を行っています。

 

2014年にアメリカで誕生したエイトスリープは、個人が最適な睡眠を取るために就寝中の体温と生体情報を取得し、快眠へと誘導するマットレスやマットレスカバーを開発しています。

寝つきを40%、深い眠りを20%高めるという実績を持つもので、この会社は2021年にソフトバンクグループなどから94億円を調達しています。

 

海外の会社は独自の端末をすでに開発しており、一歩進んでいます。この先、サイバーダインのような会社が同様のものを送り出すかもしれません。

保育園に導入された快眠アプリとは?


日本にはどのような会社があるでしょうか。スタートアップを中心に紹介します。

 

トップランナーと言える会社が、ニューロスペース。企業向け睡眠改善プログラムを開発し、大手企業を中心とした従業員の生産性向上を図っています。パナソニック、住友化学、楽天など、名のある企業に導入した実績を持ちます。

筑波大学などとも連携し、睡眠状態を簡易的に計測・可視化する脳波センシング技術などを開発しています。築き上げた技術をもとにして、睡眠改善プログラムを実施。質の高い睡眠を提供しているのです。

ニューロスペースは2019年に3億4,000万円の資金調達を行いました。

 

一風変わったサービスを提供しているのが、ユニファ。この会社はルクミーというサービスを提供しており、その目的は保育施設向けの業務負荷の軽減です。デジタルを活用し、連絡帳やシフト管理、請求管理、バスの位置情報などを共有・管理・運用できるインフラを提供しています。

スリープテックに関連するサービスが「ルクミー午睡チェック」。これは子供の体の向きを定期的に記録し、安全な午睡ができるというもの。うつ伏せ寝が続いた場合、アラートで通知がされます。子供の安全と、保育士の業務負荷軽減をサポートするサービスです。

このサービスは、アマゾンウェブサービスジャパンが主催する「AWS Startup Architecture of the Year Japan 2020」で優勝しました。

ユニファは2019年に日本郵政キャピタルや凸版印刷、エムスリーなどから35億円を調達しました。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。