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M&A一般 2024.3.27 配信

M&Aに失敗する売り手企業の特徴とは? ポイントを抑えてスムーズに売却を

M&Aに失敗する売り手企業の特徴とは? ポイントを抑えてスムーズに売却を

M&Aにおける売り手側の問題点は共通している


「M&Aの仲介事業者に相談したものの、なかなか成約に至らない」

「想像していた以上に売却がスムーズに進まない」

「想定していた条件をクリアする買い手が現れない」

そのような経験はありませんか?

 

事業承継を背景としてM&Aの相談をする経営者は増えていますが、売り手となる会社または経営者が何らかの問題を抱えていて、案件が円滑に進まないことがあります。そういうケースでは共通した問題を抱えていることが多く、何が障壁になっているのかを事前に把握しておくことでスムーズなM&Aを実現できます。

 

この記事では、M&Aを阻むよくある売り手側の問題点を以下3つの切り口に分けて紹介します。

 

1.組織体制・財務体質
2.M&A推進の体制
3.経営者の意識

会社の組織体制における問題点


会社の組織体制や財務体質に不備があるパターンです。これは、そもそも買収の対象となりづらい会社(買い手にとって魅力が薄い会社)であることを示しています。

典型的なのが以下のようなパターンです。

 

●会社がシステム化されていない
●経営者や一部の役員・従業員が抜けると事業が成り立たない
●訴訟や裁判の事案がある

 

M&Aを行う場合、株式を売却した創業者や社長が経営を継続するケースも一部あるものの、基本的には経営者が変わります。

組織がシステム化されておらず、トップの一存ですべてが決まってしまうような会社は、経営体制が変更になると事業推進が滞ります。事業活動が仕組化されていないケースは特に小規模のオーナー企業によく見られ、従業員の経営者への依存度が高いという特徴があります。

裏を返すと、人材が自立していないために組織の体をなしていないことが少なくありません。

 

主要な取引先との信頼関係が経営者や一部の取締役、従業員だけに限定されているケースも見られます。参入する会社が少ないニッチ業界で稀にあるパターンです。

創業者などに限定された特別なスキルを伴う事業もM&Aでは歓迎されません(ただし、創業者がそのまま売却後も社員となり、継続雇用を希望する場合はこの限りではありません)。

 

裁判や訴訟を抱えている会社もあります。事業に関連する内容で裁判沙汰となっている会社は、しかるべき結果が出るまでは買い手がつきづらい点はあります。

 

次に財務に関連するものを紹介します。

 

●債務超過
●決算書改ざん
●税金・社会保険料が未払い

 

債務超過の会社は、必ずしも買い手がつかないわけではありません。ただし、譲渡金が安くなるなど、条件は悪くなることが多いでしょう。債務超過が一時的なものではなく、恒常的な赤字体質で度々債務超過に陥っている場合は買い手が見つかりづらくなります。

 

決算書の改ざん、裏帳簿や資金・資産の公私区分がない、資金流用などを行っていると買い手はつかないでしょう。分からないと思って隠そうとする会社もありますが、プロフェッショナルが決算書に目を通せば必ず見抜けます。

税金や社会保険料の未払いは典型的な簿外債務です。簿外債務は買い手側に多大な損失が発生します。

 

売り手側は譲渡金を高くするため、少しでも財務状態をよく見せようとしがちです。しかし、M&Aの第一線で活躍するコンサルタントや会計士、熟練の経営者など、プロの目を欺くことはできません。

 

不利になりそうな材料であっても、事前にコンサルタントに相談すればスムーズに進むこともあります。必ず正直に内情を伝えてください。

M&Aの推進体制における問題点


M&Aを進める体制も重要なポイントです。よくある問題点にこのようなものがあります。

 

●交渉者に決裁権がない
●連絡手段がファックスのみ

 

交渉は最終的に判断できる人で進めてください。社長が交渉役として話を進めていたものの、最終決裁者はオーナーである会長だったということが度々あります。M&Aは買い手と条件を詰めて最終的な契約へと至るもの。交渉するためには提示された条件を「飲む」「飲まない」の判断が必要です。

必ず、最終決裁者が進行に携われるような体制を組んでください。

 

紙文化が残っている会社は、主要な通信手段がファックスのことがあります。M&Aはスムーズに交渉を進めることが重要です。緊急度や重要性の高い書類をメールで送って電話連絡し、すぐに確認してもらうこともあります。スムーズにやり取りできることが成約へと至る秘訣なのです。

 

第三者が介在してプロジェクトが前に進まなくなることもあります。

 

●他社仲介事業者の介入
●反対者の存在

 

複数の仲介事業者に依頼する経営者は少なくありません。自由競争という観点から間違ったやり方だとは言えませんが、コンサルタントのモチベーション低下を招きます。好条件を引き出すために複数声をかけるという気持ちもわかりますが、基本的にはどの会社のコンサルタントも意欲が下がってしまうため、結果として満足が得られないことにもなってしまいます。

 

M&A は信頼関係が一番です。熱意や理解のあるコンサルタントを信頼し、一任するくらいの気持ちの方がスムーズかつ好条件で成立するでしょう。ただし、コンサルタントの熱意とは別に本来の理想的な成就候補を探す事が大前提です。最初に仲介契約をする時に、仲介会社の規模の大小を関係なく買い手引合せまでの力量と、コンサルタントの対応力を見比べるというのが賢いやり方かもしれません。

 

家族や弁護士、会計士、取引き銀行、不動産オーナー、取引先、社員が M&A に反対することもあります。基本的に M&A は情報を外部に漏らすことはしません。

話をするのは実務で必要な一部の人だけです。どの段階で誰にどのように告知するのかはルールがありますので、担当コンサルタントのアドバイスを聞きながら反対している方への誤解を解き、理解を深めていくと良いと考えます。

進行中は、守秘義務を守ること。そして仮に反対者が出たとしても、譲渡したい強い意志を持ち続け、反対者の気持ちを汲みつつ進行することが重要です。どのような反対者でも、結局会社の全責任を持っているオーナーがどうしたいのか? という意思の尊重が必要になります。

経営者の意識に関する問題点


経営者の意識が成約を阻んでいるケースもあります。

 

●売る気が定まっていない
●気持ちが焦っている

 

「好条件が出れば売ってみようかな?」と考える経営者もいます。売るべきか迷っているのです。譲渡金などの条件は、そのタイミングで売却した場合に提示されるものです。中古車のように査定を出すのとはわけが違います。

事業活動は日々変化しており、好条件が出たタイミングで売却しようというスタンスでは、いつまでたってもM&Aは成立しないでしょう。売却目的を明確にし、成約に向かってコンサルタントと一丸となって進むことで良い結果が得られます。

 

これとは逆に気持ちが焦っているケースも成立がしにくいものです。M&Aは理論が先行します。気持ちではありません。買い手側は極めて合理的に会社の価値を判断します。感情ではなく、論理で話ができなければ成立しません。

 

●素直ではない
●昭和の交渉術

 

素直に気持ちや条件を吐露するのではなく、テクニックで相手を丸め込もうとする行為は厳禁です。交渉相手が気分を害したり、不必要なコミュニケーションを重ねるきっかけにもなります。

交渉に優位なポジションを確立するため、検討時間を異常なほど長くする経営者もいます。「根負け」という言葉がある通り、かつては長引かせることで相手が折れることもありました。それは今は通用しません。

論理的かつ効率的に交渉を進めるのが一般的です。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。