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M&A一般 2024.4.3 配信

M&Aが成功しない! 成約に至らない買い手側の問題点とは?

M&Aが成功しない! 成約に至らない買い手側の問題点とは?

M&Aの成功確率は50%以下という現実


「事業規模を大きくしたい」「販路を拡大したい」「新規事業に進出したい」など、M&Aを行う買い手側の経営者は、大いなる野望や思いを持って交渉に臨みます。

しかし、M&Aが実際に成約へと至る割合は3~5割ほどと言われており、必ずしも上手く行くわけではありません。

 

条件の折り合いがつかない、売り手側の株主全員の同意が得られなかったなど、成約しない理由は数多くありますが、実はM&Aの主体者である買い手側に問題点があるケースもあります。

M&Aを行う前に買い手側にありがちな問題点を克服しておきましょう。以下の3つの切り口で解説します。

 

1.会社の体制や方針、実績
2.経営者の意識
3.実務上の不備

基本的な体制づくりが行えていない


M&Aを行うに当たり、体制や方針、実績が伴っていない会社が見られます。以下のようなパターンです。

 

●M&Aをした実績がない
●会社の業績が悪い
●決算情報を開示しない

 

M&Aの実績がないというと身も蓋もない話になってしまいますが、これは初心者だと進め方が分からないからということではありません。仲介事業者などに依頼をしていれば、実務はM&Aコンサルタントが徹底的にサポートします。その点は心配ありません。

 

企業買収の初心者には、ある共通した心理があります。それがM&Aという巨額投資に対するリスクヘッジをしたいというものです。

過剰な防衛意識を持った初心者は、成約へと至りづらい3つの罠に陥ります。1つ目は買収しない理由を探してしまう。2つ目は過剰なまでに交渉相手に要求してしまう。3つ目は条件をひっくり返してしまうというものです。

 

目の前に提示されたM&Aという投資案件の意志決定がしきれないために、「買収しない理由を探す」のであり、取引先の具体名や契約条件などの開示を求める「過剰な要求」をします。そして、土壇場で雇用条件や借り入れなどの引き継ぎ条件を「ひっくり返して」しまうのです。

 

M&Aで最も重要なのは、買収目的を明確にすることです。上手く行かない経営者は、以下の問題点を持っています。

 

●M&Aの方針が決まっていない

 

初心者に限らず買収を希望する経営者は、仲介事業者などに相談する前に改めて経営戦略を見つめ直し、なぜM&Aを行うのか、他の手段では達成できないのかを必ず検討しましょう。

M&Aは経営課題を解決する手段の一つであって、買収すること自体が目的ではありません。M&Aの目的が明確になり、経営戦略に照らし合わせて課題解決の糸口が見えているのであれば、大まかな買収予算は算出されているはずです。

 

買い手側の業績が悪いことも、M&Aが成立しない要因になります。売却を希望する経営者は、家族同然の従業員を託すという苦渋の決断をして交渉に臨んでいます。業績が芳しくない会社に譲渡をしたいという気持ちは生まれません。

 

決算情報を開示しない会社も透明性が低く、交渉が進みません。M&Aは売り手はもちろんのこと、買い手側も必要に応じて一定の情報を開示するものと考えてください。

買い手側の意識が低いM&Aは失敗する


買い手側の経営者の意識の持ち方に問題があることもあります。

 

●買う気がない
●興味本位
●資金調達ができない
●手数料を支払わない・値切る

 

M&Aの目的が明確ではなく、市場にどのような案件があるのか概観し、条件の良い案件があれば手を挙げようとする経営者がいます。

買い手として名乗り上げる経営者の多くは、事業や販路の拡大、新規事業への進出、生産設備の拡張、従業員の確保などを目的とし、会社の経営に本気で取り組んで熱意を持ってM&Aに臨みます。

興味本位や情報収集を目的とした経営者は、そもそも売り手や案件の情報にリーチすることができません。そのような経営者は相談を受けた段階で意識の低さが露呈してしまうからです。コンサルタントは、成約確率の低い経営者を熱心にサポートしようとは考えません。

 

資金調達が上手く行かない経営者も見受けられます。金融機関はM&A向けの各種融資を行っていますが、3期分の決算書、事業計画書、資金繰り表などの提出が求められます。銀行は買収によるシナジー効果があるのか見極めて融資を行うか判断しています。論理的にM&Aを行う理由を説明できる経営者でなければ、資金調達はできません。

 

仲介事業者に対して仲介手数料を支払わない、値切る経営者もいます。実務をサポートした対価であり、コンサルタントは仲介手数料が支払われることを前提として動いています。M&Aは信頼関係で成り立っています。仲介手数料を支払わない、値切ることはそれを裏切る行為です。

 

その他、以下のようなパターンもあります。

 

●態度が横柄
●条件がハード
●財務内容に詳しいふりをする

 

買い手だからといって、「お客様」なわけではありません。M&Aは売り手と買い手が対等な位置で、条件を擦り合わせる場です。横柄な態度が出ると、売り手は譲渡する気持ちを失います。

 

交渉条件がハードな経営者もいます。中小企業は完璧なものではなく、何らかの欠陥があることもあります。重箱の隅をつつくような行為を繰り返して、好条件を引き出すことは控えましょう。何らかの問題があっても、それを乗り越えようとする前向きな気持ちが重要です。

財務内容に詳しいふりをして、好条件を引き出そうとするのは逆効果です。デューデリジェンスは専門家と相談しつつ、ポイントを抑えて交渉を進めましょう。

気の緩みが実務上の不備につながることも


プロジェクトを進める中で、実務上の不備や問題点が出てくることもあります。以下のようなものです。

 

●情報漏洩
●反対者の存在

 

M&Aは実務上必要な、ごく限られた人だけで進めます。情報漏洩は厳禁です。家族や友人、経営仲間などに話してしまい、それが広まれば交渉が決裂することがあります。M&Aは売り手側の従業員や取引先、仕入先などに不安を呼び込むこともあります。決して情報を外部に漏らさないようにしてください。

 

買い手側の株主などから、反対の声が上がることもあります。その場合は、反対者の声に耳を傾けつつ、買収の目的やシナジー効果を論理的に伝えてください。熱意と理論の両面から、粘り強く説得することが重要です。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。