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保育・教育 2023.4.19 配信

市場が急拡大する子供向けのプログラミングスクール!課題は講師不足

市場が急拡大する子供向けのプログラミングスクール!課題は講師不足

45万人のIT人材不足を補うことができるか


2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略 –JAPAN is Back–」において、産業競争力の源泉となるハイレベルなIT人材の育成・確保が掲げられました。それを受け、義務教育段階からのプログラミングを取り入れてIT教育を推進することが決まりました。

 

IT人材の需給ギャップは年々拡大しており、2030年には45万人が不足するとの試算があります。その救世主とも言えるのが、子供向けのプログラミング教室です。

この市場は今、急速に拡大している有望な市場です。

コロナ禍においても市場は2桁で成長中


※GMOメディア×船井総合研究所「2022年プログラミング教育市場規模調査」より

 

GMOメディアと船井総合研究所が行った調査によると、2022年のプログラミング教育の市場規模は全体で302億円。その中で子供向けのプログラミング教育市場は前年比13.2%増の199億円でした。

コロナ禍の影響を受けているにも関わらず、2桁で成長しています。子供向けプログラミング教育市場は、2025年に500億円、2030年には1,000億円に達すると見られています。

 

ただし、競争が激化していることも事実。2013年から2018年の5年間で、民間のプログラミング教室の数は約6倍に増加したと言われています。

受験対策としてのプログラミングが今後は伸びる?


民間のプログラミング教室は2つに大別できます。ロボット製作とプログラミングを行うロボット・プログラミング教室と、プログラミング技術の習得に特化したプログラミング教室です。

 

2013年まではロボット・プログラミング教室が全体の9割を占めていました。しかし、近年はプログラミング教室が拡大。4割を占めるまでになりました。

※総務省「子供向けプログラミング教育の現状に関する調査研究の請負成果報告書」より

 

プログラミング教室が急拡大した背景の一つが、義務教育の必修化。もともと、子供向けプログラミング教室の運営会社は、IT企業や幼児教育などの専門会社が展開していました。それが学習塾や学童保育、専門学校などへと拡大したのです。

 

2025年には大学入学共通テストにプログラミングを含む「情報」が教科として採用されます。今後は受験対策としての民間プログラミング教室の利用が広がると見られています。

 

現在、上場企業が提供するものに以下のようなサービスがあります。

 

【株式会社LITALICO(りたりこ):LITALICOワンダー】

2014年4月事業開始。2020 年3月現在、首都圏を中心に直営で18教室を展開。

 

【ヒューマンホールディングス株式会社:ヒューマンアカデミーロボット教室】

2009年6月にスタートした日本のロボット教室のパイオニア。2019年5月時点で、国内47都道府県に1,400教室以上を展開し、ロボット教室では未就学児童から中学生まで24,000名を超える生徒が在籍。

 

【株式会社サイバーエージェント:Tech Kids School】

2013年5月設立。サイバーエージェントグループの特色を活かした本格的なカリキュラムが特徴。

 

【株式会社KADOKAWA:N Code Labo】

学校法人角川ドワンゴ学園が運営するプログラミング教室(平日の夕方~夜、土日に開講)。
「N高等学校(N高)」や「N中等部(N中)」で培われた教育ノウハウを基盤とした実践的なプログラミング教育が特徴。

 

【株式会社学研ホールディングス:もののしくみ研究室】

学研グループである株式会社学研エデュケーショナルと株式会社アーテックが協業で提供するロボット・プログラミング講座。
ものづくりメーカー30社以上が協力し、実際に働く人々の話に触れることで社会や産業に興味を持つことができる。

ITスキルと教育の両面を併せ持つ特殊な人材が必要に


プログラミングの必修化は教員不足が最大の課題と言われています。民間のプログラミング教室においても、それは同じです。

プログラミング教育は子供の目線に立って教えるという能力と、ITスキルの両面を持っていなければなりません。教育に特化した人、ITに特化した人は見つかりやすいですが、その二つを兼ね備えた人は多くないのが現状です。

 

そのため、大手企業を中心に提供する教材やプログラムでそれをカバーする動きが見られます。IT企業と協力して教材を開発し、誰でも教えられるような一連のプログラムを作ってしまうのです。教育の仕組みが整備されると、学習塾の講師など専門的な知識がない人でも教室を運営することができます。

 

小学生を中心とした子供向けのプログラミングスクールは、属人性を排して教室運営を可能にする仕組みづくりに経営資源を集中することになるでしょう。

ディープラーニング・学習塾・書店がタッグを組む


すでに一定のブランドを構築し、集客力を持っている会社は他社との協業でプログラミングスクールの開校を進めています。

 

東京メトロは、2018年4月に子供向けロボット・プログラミング教室「東京メトロ×プログラボ」を展開しています。メトロはプログラボ教育事業運営委員会とフランチャイズ契約を締結していました。

 

家電量販店のエディオンは2019年12月に子供向けプログラミング教室「ロボ団」を運営する夢見るを買収。施設内に教室を設け、家族客へのPCの普及、販売という相乗効果を狙っています。

 

書店を展開する文教堂グループホールディングスは、2021年11月にやる気スイッチグループと協業し、子供向けプログラミング教室を展開しています。

やる気スイッチグループは、2020年12月にPreferred Networksと合弁会社を設立。ディープラーニング技術を開発するPreferred Networksが開発したプログラミング教材Playgramを用いた子供向けの教室を開講していました。

文教堂は郊外型の書店を展開しており、プログラミングスクールをフックとして教材や関連書籍、文具の販売に繋げる狙いがあります。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。