【M&A基礎知識】買い手がつかないよくある事例を一挙紹介
【M&A基礎知識】買い手がつかないよくある事例を一挙紹介
会社のことを包み隠さず話そう!
日本の高度成長時代を支えた中小企業を中心に後継者不足が深刻となり、M&Aが活発になっています。イノベーションリーダーズは、会社を売りたいとオーナーと、買って事業を拡大したいと考えている経営者とをつなぐ橋渡しの役割を担ってきました。
経営上の悩みを抱える数多くのオーナーとヒアリングを重ね、将来的な成長を約束してくれる信頼性の高い買い手候補との交渉をしています。
そうした過程で、どうしても買い手がつきにくい会社や条件が出てくるものです。M&A仲介のプロフェッショナルが見てきた事例を紹介します。会社の売却を検討している人は参考にしてください。
交渉が進まない、あるいは買い手がつかないよくあるパターンその①。
「決算書の改ざん」です。
しかし、会社の内情を一番よく知っているのは経営者のはず。相談したばかりの相手がそんなに簡単にわかるものかな。
ただし、これには高い知識と経験が不可欠です。経験の浅いコンサルタントや仲介業者の場合、案件を進めてしまって後から改ざんが発覚して破談になるケースもあります。相談する際は率直に内情をお話しください。何か対策が打てる場合もあります。
売り手企業の内部調査をしなければ、買い手候補を探すことができません。買い手も得体のしれない会社に手を出そうとは思いません。もし巨額の簿外債務が買収後に発覚すれば大損害を被ることになります。
株主の承認なしに売却を進めるのはダメ!
「株主ではないのに、会社を売却しようとする」です。
ただし、世の中にはいろいろな人がいます。こんなケースがありました。
譲渡金が貰えないことはわかっている雇われ社長が、退職金規定をはるかに超える巨額の退職金をもらおうと企てたのです。その会社には退職金規定がなかったため、自ら勝手に定めたといいます。ただし、退職金規定は株主総会や取締役会の承認を得なければならないため、勝手に作っても絵に描いた餅です。
買い手候補が複数挙がった場合、経営者同士の面談を何度か行うことが想定されます。稀にその調整がつかず、何週間、何カ月も待ってしまうことがあります。これはオーナー以外の社員の権限がないことが関係しています。
M&Aはスピード感が重要です。交渉担当に当たる社員には事前に裁量権を与えてください。
事業がなければ会社は売れない!
相談する人の中には、夜になると機嫌が悪くなる人や、常にイライラした態度をとる人がいます。また、他社にも相談をしているのか、偏った知識を持って”試してやろう”とする人もいます。こうした態度で信頼関係を築くことはできません。
ビジネスを進める際の基本を抑えられているかどうかが重要です。
執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ
外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。