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M&A一般 2022.4.20 配信

【M&A基礎知識】「分割払いは可能?」買い手が勘違いしがちな事例を紹介

【M&A基礎知識】「分割払いは可能?」買い手が勘違いしがちな事例を紹介

M&Aは一括払いが基本的な原則


「経営する会社を成長させるため、別の会社や事業を買いたい」
M&Aは時間や費用を最小限に留め、会社を発展させる手法として大いに活用されるようになりました。M&Aの仲介を行うイノベーションリーダーズは、幅広いネットワークとコンサルタントの知見により、最高の一社との出会いを提供しています。

当社に買収希望の相談にくる経営者は、「活動拠点を広げたい」「現在扱っているサービスがコモディティ化した」「事業ポートフォリオを強化したい」など、様々な理由や目的を持っています。買収を希望する経営者の多くは野心的であり、新たな出会いを求める強い意思を感じます。しかし、前のめりになればなるほど、何としてでも手に入れたいと考えるもの。経営者の中には間違った知識や、自分の都合の良い方法で買収しようとする人も見受けられます。

何事も基本が大事。M&Aの相談をする前に、買い手が勘違いしがちな事例を集めました。第一線で活躍するコンサルタントが、実際に出会ったケースを紹介します。

買収を希望する経営者からよく質問されるのが「分割払いができるかどうか」です。
多くの仲介事業者が扱う中小企業のM&Aにおいては、一括払いが原則です。M&Aは時間を買うと表現される通り、分割払いは”そもそもの考え方”と合致しません。
また、会社を買収する際、将来的にどれだけの利益をもたらすかをベースとして買収額を算出します。初期投資の投資対効果の観点から評価額を出しているため、前提条件として分割払いという方法が加味されていないのです。

なるほど、分割で支払うという考え方そのものが馴染まないということね。
でも、企業の買収は大型の投資そのものだから、リスクを低減するために分割払いをしたいという経営者の気持ちはわかるわ。
買収を本気で望んでいる経営者が、一時的に資金不足に陥っているケースもあるはずだし。

それならば、金融機関からの借り入れを活用しても良いかもしれません。
例えば、日本政策金融公庫はスモールM&A向けの融資を行っています。日本政策金融公庫は事業承継問題に本格的に取り組んでいて、その一環として設けられたものです。特に事業承継を背景としたM&Aであれば、無担保で融資を受けられる可能性があります。

上場企業の買収の多くは融資に頼っているし、借り入れをするという選択をするのも重要ね。

譲渡金を分割にし、更に買収した会社の業績が予想を下回った場合は支払いはしたくないという経営者も……。

M&Aは買収後の統合プロセスであるPMIが一番大事だと言われているわ。それはあまりにも経営者として無責任な話ね。

その通りです。買い手は会社を受け入れる覚悟や体制が必要です。譲渡金はそれが形になっているに過ぎません。分割払いをしたいという経営者は、機が熟していないとも言えると思います。

よく聞くアーンアウト条項とは?


分割に近い考え方に、「アーンアウト条項」というものがあります。買収した会社が一定の条件をクリアすると、追加で報酬を払うというものです。

アーンアウト条項はスタートアップの買収でときどき目にするわね。買収から1年後に売上高10億円を達成して追加報酬が支払われるとか。

はい、売り手は業績がまだまだ伸びると考えていて、買い手が悲観的に捉えている際に用いられます。売り手がそれほど自信があるなら、少し様子を見ましょうといったニュアンスです。
ただし、中小企業のM&Aでアーンアウト条項が盛り込まれることはほとんどありません。要件の整理や交渉に時間がかかるためです。また、会社を買収した後は業務量が多く、数字目標を追うのは相当なストレスがかかります。よほど野心的なスタートアップの経営者ではない限り、業績目標の達成は難しいでしょう。

中小企業の買収は初期投資を前提として考えないといけないのね。借り入れを上手く活用すれば、レバレッジ効果が生まれる可能性もありそう!

M&Aは少数精鋭チームを組成してゴールを目指そう


他によくある勘違いとしては、「M&Aの情報量を少なく見積もっている」です。
初めてのM&Aにも関わらず、チームを組成することなく経営者一人で何とかしようとするケースがあります。これは非常に危険です。
M&Aは財務や労務、法務に関する膨大な情報を把握する必要があります。その情報をもとに交渉を進めるのですが、内容の理解が追い付かずに匙を投げてしまうのです。

ある程度の規模の会社を買収する場合、経営者一人だと無理があるわ。

M&Aは機密情報を扱うため、少数精鋭でチームを編成するのが普通です。経営戦略、財務、労務、法務に強い社員を選ぶのが良いでしょう。社外の専門家に声をかけるのも賢明な選択です。

会社を買収しようと考えたら、社内のチーム編成の目ぼしをつけておくのが重要ね。

M&A担当者が出世目的で仲介手数料を大幅に引き下げる提案をし、昇進に繋げようとするケースもありました。このような場合、買い手として相応しくないと判断し、交渉を停止する措置をとります。結果として、M&A担当者はプロジェクトから外されてしまいました。
これもチーム組成に関わる事案です。メンバーにはM&Aを行う目的を明確に伝え、何を成し遂げようとしているのかを浸透させる必要があります。

たった一人の暴走によって優良案件を取り逃がしてしまうのね……。

競合の情報を持ち去ろうとしたケースも


「ライバル会社の情報を盗もう」とする人も中にはいます。

M&Aは会社を丸裸にしてしまうから、産業スパイにとっては効率的な方法かもしれないわね。

M&A仲介の経験を積んだコンサルタントは、相談相手が”何かおかしい”と察知するポイントを抑えています。当社はこうしたノウハウを社内で共有しており、すぐにあぶり出せるようにしています。また、注意が必要な会社もリスト化しています。
”危険度の高い会社”に対しては提案を行いません。

M&A仲介会社の違いはこうしたところにも表れるのね。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。