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金融・保険 2021.9.15 配信

活発化する保険代理店のM&A、その理由とポイントを解説

活発化する保険代理店のM&A、その理由とポイントを解説

廃業数が加速する保険代理店業界


保険会社と顧客の仲介役を果たし、ライフプランに合わせた最適な商品を提供する保険代理店は、保険会社が市場シェアを高める手段の一つとして積極的に活用されてきました。代理店には大きく二つのタイプがあります。専業代理店と兼業代理店です。兼業代理店は自動車整備工場や不動産会社などが利用しました。本業との相乗効果が高かったため、会社の成長に一役買ったのです。
しかし、保険代理店の実店舗数は年々減少しています。日本損害保険協会によると、2020年の代理店実時数は165,185店。2001年と比較して51.8%減少しています。10年で半分以上の店舗が消失しているのです。

※日本損害保険協会「2020年度損害保険代理店統計」より

2020年に廃止した代理店数は16,507店で前年度比2.4%の増加となりました。なぜ、廃業数が加速しているのでしょうか?

インターネット保険の台頭


背景には大きく3つの要素があります。
1つ目は生命保険のような販売しやすい商品のニーズがなくなっていることです。1970年代に生命保険の加入率は90%を超えていました。しかし、1996年の保有契約高1,495兆円をピークに頭打ちとなり、2016年には862兆円まで減少しています。これは、価値観の多様化によって家族を養い、保険に入るのが当たり前という意識が変化したものと考えられます。
2つ目は経営者の高齢化が進んだことです。保険代理店に限ったことではありませんが、経営者の高齢化は進行しています。帝国データバンクが2021年1月に行った調査によると、全国の社長平均年齢は60.1歳となりました。調査開始以来初の60歳を超えたのです。保険代理店は小規模事業者も多く、事業を引き継ぐ相手が見つからないまま、廃業を選択する経営者が見受けられます。
3つ目はインターネットによる保険加入が増加していることです。アクサダイレクト生命、ライフネット生命の保有契約年換算保険料は年々増加しています。

■ネット専業生保の保有契約年換算保険料の推移

※「生命保険販売におけるインターネットチャネルの現状」より

若い世代は価格の安いインターネット保険を選択するようになりました。顧客をインターネットにとられてしまっているのです。

対面型で深く相談できる保険代理店の強み


インターネット保険の加入が進んでいるからといって、保険代理店の市場価値や存在感が薄くなっているわけではありません。価値観が多様化すればするほど、保険の種類も複雑になります。一方的な情報のインターネットよりも、商品に対する深い知識を有する保険代理店は顧客の強い味方となるのです。
保険会社も、保険代理店を重要な販売チャネルと捉えていることは間違いありません。M&Aは活発に行われています。

主な保険代理店のM&A


【第一生命保険のアルファコンサルティング完全子会社化】
2018年4月に第一生命保険がアルファコンサルティングの株式100%を取得して完全子会社化しました。アルファコンサルティングは120名の保険募集人を擁する会社です。顧客のニーズに沿った商品提供ができる体制を整えました。

【住友生命保険の保険デザイン子会社化】
2017年7月に住友生命保険が保険デザインを子会社化しました。保険デザインは関西エリアに保険ショップを20店舗展開しています。少子高齢化が進む中で、保険の見直し相談時に保険ショップを訪れるケースが増加していることから、買収を決めました。

保険代理店のM&Aのメリット


保険代理店の売却には様々なメリットがあります。

〇事業承継
〇注力事業への集中
〇個人保証からの解放
〇早期リタイア

最大のメリットは事業承継が実現し、従業員の雇用を継続できることです。また、保険代理店は顧客との長年の付き合いから強い信頼関係で結ばれていることが多く、顧客を守ることにもつながります。社会的な意義を鑑みると、廃業よりもM&Aが有効であることは間違いありません。
兼業代理店であれば、事業譲渡によって本業に集中できる体制が整います。新型コロナウイルス感染拡大で、様々な業界で商環境が激変しました。経営の難易度は上がっており、資金調達ニーズも活発です。事業売却によって資金を得ることができ、本業への投資も可能となります。
経営者が個人保証から解放され、早期リタイアできることから、生活の自由度が上がることも大きなメリットの一つです。

評価が高い保険代理店の特徴


市場価値の高い保険代理店にはいくつかの特徴があります。

〇加入者数が多い
〇立地条件が良い
〇販売ノウハウに特徴がある

当然、加入者数が多い保険代理店は高値がつきやすい傾向があります。そのほか、立地条件の良さも高評価ポイントの一つです。商圏の大きいエリアであれば、たとえ加入者数が多くなくても、従業員数を増やしたり広告を出すことによって加入者の増加を狙うことができるためです。
販売ノウハウが確立されており、顧客満足度が高い場合も高い評価がつきやすくなります。
M&Aのプロセスは決して難しいものではなく、誰でも行えるものです。事業承継に悩んでいる経営者は、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。