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IT・通信・システム開発 2024.12.4 配信

生成AIが日本企業が抱える人材不足を解消して生産性の向上に貢献する? 産業別AI活用事例を紹介

生成AIが日本企業が抱える人材不足を解消して生産性の向上に貢献する? 産業別AI活用事例を紹介

生産性が高まらない中小企業こそ早期導入の検討を


ChatGPTや‎Geminiなど、生成AIが身近なものになりつつあります。情報の取得や課題解決のヒント、必要なプログラムを自動的に出力するなど、日々の業務で使われる頻度も高まっています。

 

しかし、中小企業を中心に生成AIの導入が本格的に進んでいるとは言いづらく、バックオフィス業務などの効率化を目的としたDXへの対応を強化しているところまで、というのが現実的なラインのようです。

 

生成AIは中長期的に日本企業を停滞させる、人材不足という最大の課題を解決する潜在性を秘めています。中小企業こそ早期導入を検討するべきでしょう。この記事では、産業別の生成AIの活用方法と導入事例を紹介します。

相次いで主要な企業が日本を拠点に開発を進める


2023年4月にChatGPTを開発するOpenAIのサム・アルトマン氏が総理と面会しました。東京にアジア初のオフィスを開設し、日本独自のニーズに応える安全なAIツールの開発を目指すとしています。開発には政府や地元企業、研究機関との連携も視野に入っています。

Google出身者が立ち上げたサカナAIは、NVIDIAからの出資を受けて2024年9月に1億ドルを調達すると発表。サカナAIにはNTTやKDDIも出資しており、開発スピードの拡大が期待されています。

日本は世界的に見ても難易度の高い言語を操り、製造業を中心とした産業が栄えています。品質への要求レベルも高く、高品質なサービスを提供する土台を構築することも可能。AIの開発拠点として、魅力的な場所の一つなのです。

 

ただし、サービスが広く普及するためには、利用者の理解が進まなければなりません。業種別にどのような潜在性を持っているのか見ていきましょう。

【製造】上流から下流までのデータを統合して効率的な生産・販売活動につなげる


製造業は上流工程である商品開発から調達、生産、物流、営業、アフターサービスへとフェーズが移行します。

これまでは、商品開発部が開発・設計・部品などの情報、調達部がサプライヤー、生産部が生産計画、マーケティングが広告などの販促データ、営業が顧客満足度・顧客リスト、アフターサービスがクレーム情報を持つなど、部門ごとのデータが分断されていました。

顧客満足度やクレーム情報などが商品開発部に届くことは少なく、ニーズが反映されないという問題点を抱えていました。

 

生成AIは分断された情報を統合し、各部門が必要とするアイデアや情報をいち早く抽出することができると見られています。

顧客ニーズに沿った商品開発や在庫不足による販売の停止などを防ぐことができるのです。

 

情報を取得するための無駄が解消され、各工程がスムーズに動くために余剰人員が必要なくなります。商品の高付加価値化が望めるだけでなく、効率化・自動化によるコスト削減を図ることが可能なのです。

 

全工程の情報を統合し、AIで管理できている会社はありませんが、BMWは製造工程にAIを導入。生産計画を根本から見直し、従来の方法に代わる新たな解を導き出す試みを進めています。生産ラインの稼働はスムーズになり、資源の最適な配分が可能になったとされています。

 

日本の中小企業の活用事例では、三重県伊勢市に拠点を置く乳製品メーカー、山村乳業の食べ歩きプリンの開発があります。

プリンは柔らかく、食べ歩きに不便という欠点がありました。そこで、容器を使わない棒付きプリンの開発プロジェクトが立ち上がります。棒の形状やプリンの硬さなど、ChatGPTを物理学のアドバイザーとして導入。食感や硬さ、大きさなど理想のバランスを持った「山村ぷりんバー」が誕生しています。

顧客の需要と製造に必要なデータを統合。ChatGPTを使って最適解を導き出した例と言えるでしょう。

【医療】AIと電子カルテで最適な医療を提供


医療大国の日本は生成AI活用に対する期待が高まっています。

さまざまな方面での活用が検討されていますが、特に期待されているのが電子カルテの分野。電子カルテにAIを導入することにより、患者の症状に見合った対処法が出力されます。日本は都市部と地方の医療格差が大きくなっており、電子カルテとAIの組み合わせで専門外の医師でも的確な診療をしやすくなると見られています。

 

カルテに入力する手間も省けます。AIは入力情報を察知して予測することができるためです。医療の質と生産性の向上にAIが寄与するでしょう。

 

すでに医療現場にAIを導入する取り組みは始まっています。

Ubieはタブレット端末で問診を患者に入力してもらい、その内容を自動でカルテに送信する技術を開発。問診にAI技術が搭載されており、症状に合わせて効率的に入力することができます。

日本赤十字社の石巻赤十字病院ではUbieをすでに導入し、1回の診察当たりの作業時間を3分短縮したという実績を出しました。

 

エムスリーデジカルは患者情報をAIに学習させることで、カルテへの入力時間を短縮するサービスを提供しています。

【飲食】運営に必要な人員を削減


アルバイトの時給が高騰し、飲食店の負担は重くなりました。人員の獲得にも苦心しており、属人的な仕事も多いことから育成までに時間がかかるという問題点も抱えています。

しかし、配膳や予約受付、発注業務などの単純作業であれば、AIで解決できることも少なくありません。

 

すでにチャットボットなどで受付業務を自動化している飲食店もあります。居酒屋つぼ八はWebサイトにチャットボットツールを導入。店舗の検索から予約までがスムーズに行えるようになりました。

AIが搭載されたチャットボットは、グルメメディアなどの予約とは異なり、顧客のニーズに沿った流れを構築することができます。そのため、予約を中断する離脱を防ぐことができると見られています。

スタッフは電話対応を行う必要がなく、業務負荷の軽減も図ることができます。

 

生成AIは海外観光客向けの接客における、有力なコミュニケーションツールにもなります。必要なメッセージをChatGPTなどで翻訳してもらえばいいからです。

外国語ができる人材を採用するよりも、はるかに低コストで運用することができるでしょう。

 

配膳ロボットはファミリーレストランから回転ずし、焼肉店など幅広い業態で使われるようになりました。このロボットにはAIが搭載されており、センサーや3Dカメラなどで位置情報を把握。最適なルートを導き出して運搬をしています。

 

飲食店の人手不足は深刻そのもの。AIの活用シーンは広がると予想されています。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。