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金融・保険 2023.1.25 配信

金融サービスの革命を起こすフィンテックの波!M&Aも活発化

金融サービスの革命を起こすフィンテックの波!M&Aも活発化

キャッシュレス決済に地殻変動


日本の決済サービスPaidyを運営するPaidyが2021年9月に買収されました。3,000億円という巨額買収を仕掛けたのがアメリカの大手決済サービスPayPal。国内最大規模のクロスボーダー案件となりました。

 

PayPalはソフトバンクとタッグを組んで日本進出を目論みましたが、失敗しました。日本はキャッシュレスが十分に浸透しておらず、規模拡大が望める市場。買収によって再進出の足掛かりを築きました。

 

スタートアップを中心に様々なサービスが誕生したキャッシュレス分野ですが、再編が起こっています。

Origamiはまさかのゼロ円買収だった


キャッシュレス業界を驚かせたのが、メルペイによるOrigamiの子会社化。2020年1月に買収を発表しました。Origamiは2012年に設立され、2015年10月にQRコード決済サービスをスタートした会社。同様のサービスは2010年後半から大量に参入しており、その中の一つでした。

 

QRコード決済サービスは、収益の大部分を手数料に依存しています。サービスによって異なるものの、1%台後半から3%程度が一般的な水準。利用者を迅速に集めて規模を拡大しなければ、収益化はできません。資本力のあるソフトバンクのPayPayやLINE Payが有利になります。

 

しかも、競合サービスとの差別化が図りづらく、消費者は利用を開始するとそこから切り替えるという意識が働きません。

 

Origamiのようなスタートアップは、事業推進力を資金調達に依存していました。収益性に欠けているため、やがて企業価値が下がります。メルペイの買収はいわば息切れでした。買収額はゼロ円だったと言われています。

7payやpixiv PAYが相次いでサービス終了


QRコード決済サービスは、数々の会社が継続を断念しています。サービスを終了したものに以下のようなものがありました。

 

・7pay(セブン・ペイ)
・pixiv PAY(pixiv)
・PAY ID(PAY)

 

7payは150万人近い利用者がいましたが、2019年7月に不正利用が発覚。チャージを一時停止しました。アルバイト従業員が不正に決済したとされ、逮捕されています。

運用するセブン・ペイはセキュリティの脆弱性はないと説明しましたが、認証システムに問題があるとの指摘もありました。決済サービスは市場拡大のチャンスがあるものの、高度なセキュリティシステムが要求されます。7payの一件は、事業推進上のリスクを顕在化させました。

 

2020年12月にはpixiv PAYがサービスを終了。このサービスは、同人誌の即売会などで決済ができることをセールスポイントにしていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大でイベントの在り方が変化し、終了へと至りました。

 

イベントなどで個人決済ができるサービスと言えば、pring(プリン)が有名。このサービスは2021年7月にGoogleが買収しました。Paidyと同じく、アメリカの大手企業が日本のスタートアップを買収しました。

 

Google Payはアメリカで個人間で決済ができるサービスを提供していますが、日本では規制の関係で展開できていません。pringの買収は日本での利便性を高める目的があります。

 

大手キャッシュレス会社は、利用者や提供するサービスの幅を拡大するため、M&Aを選択しています。

デジタルで多様化する金融の仕組み


FinanceとTechnologyを組み合わせてフィンテックと呼び、消費者の暮らしにも浸透してきました。フィンテックというとキャッシュレス決済をイメージしがちですが、様々な領域があります。キャッシュレス決済以外のものを紹介します。

 

【個人財産管理】

複数の金融機関の資金を一元化できるツールです。Money Forward ME、zaimなどのサービスがあります。銀行のカードを連携してすべての資金を見える化し、レシートを読み取って資金の流れを計算します。資金管理、家計簿の作成を支援するツールです。

 

なお、zaimは2019年1月に不動産サイト『オウチーノ』や結婚情報サイト『みんなのウェディング』を運営するくふうカンパニーに買収されています。

 

【会計・経理】

会計ツールはソフトウェア型からクラウド型への移行が進んでいます。ツールの使いやすさが向上し、経理業務の効率化が図れることから採用する企業が多くなっています。freeeや弥生会計、enigma payなどのサービスがあります。

 

2022年3月にオリックスが子会社の弥生を、アメリカの大手投資ファンドKKRに売却しました。バイアウトファンドであるKKRは、弥生の企業価値を高めたうえで、他社への転売かIPOを行うでしょう。通常、エグジットは3年から5年を目処に行われます。

 

【融資・ローン】

オンライン上で行う融資のサービスにも注目が集まっています。住宅ローンのMOGE CHECKや、無店舗型消費者金融J.Socre、個人と投資家を直接結ぶFounderなど、資金調達の目的に沿ったサービスが数多くあります。

 

【保険】

今後、ウェアラブル端末が進化することにより、人の膨大な行動データが扱えるようになると考えられています。そうなると、生活習慣病や自動車の運転記録など、個人がどのような日々を送っているのかを保険会社は把握しやすくなります。

ビッグデータの活用により、保険会社は個人に最適化した保険の提案ができるようになるとも言われています。LINEほけん、iChainなどのサービスがあります。

 

【クラウドファンディング】

クラウドファンディングには3つの種類があります。寄付型、プロジェクト型、投資型です。MakuakeやCampfireなど、寄付やプロジェクトの立ち上げ資金を集めるサービスはよく知られるようになりました。

投資型には、投資家と起業家を結ぶもののほか、太陽光発電施設などへの投資を行って利回りを得るソーシャルレンディングがあります。

 

ただし、ソーシャルレンディングは運営の難しさが露呈しています。2021年3月に業界大手maneoマーケットで資金を集めていたグリーンインフラレンディングが破産。120億円の支払が遅延しました。

SBI系ソーシャルレンディングの、SBIソーシャルレンディングは2022年3月にバンカーズ・ホールディングスに買収されました。ソーシャルレンディングも再編が進んでいる分野です。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。