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M&A一般 2024.7.24 配信

M&A仲介会社の手数料に注意! 起こりやすいトラブルと手数料の事例

M&A仲介会社の手数料に注意! 起こりやすいトラブルと手数料の事例

2025年4月から手数料の開示に向けた議論を開始


M&Aの仲介会社による手数料のトラブルが絶えません。

算定基準のわかりづらさや情報格差を利用し、サービスの利用者(M&Aを検討する経営者)に対して過度な手数料を請求するケースが目立っているのです。

 

経済産業省は中小企業オーナーが安心してM&Aを行える環境を整えるため、2024年秋をめどに「中小M&Aガイドライン」を改訂し、2025年4月ごろから手数料の算定基準をガラス張りにするための、指針づくりに向けた議論を始める予定です。

 

M&Aは仲介会社の手数料を巡るトラブルに陥らないためにも、その中身や算定基準に対する正しい知識を持つことが重要です。

同じレーマン方式でも手数料が変わる


東京商工会議所が行ったアンケート調査によると、M&Aを行わない理由の3つ目に挙がったのが「手数料が割高だと感じる」というもので、12.9%に上っていました。

 

M&Aの仲介手数料は、着手金や相談料、月額固定料の有無など、会社によって料金体系がバラバラ。そして多くの会社はレーマン方式という報酬基準額の算出モデルを採用していますが、その基準が株式価値なのか企業価値なのか、受取額なのかで金額が変化します。

 

そのため、実際にM&Aを行ってみたら想像していたよりも手数料が高いと感じる人も少なくないのです。ネガティブな経験談が流布し、中小企業経営者の間に浸透して手数料が高いというイメージが一部に染みついてしまったのでしょう。

 

M&Aの手数料を巡るトラブルは、仲介会社が十分な説明をしていなかったか、説明した内容の理解が不十分だったか、もしくはその両方が重なって起こることがほとんどです。そのため、M&Aを相談する経営者は手数料に対する十分な情報を得ておくことが必要です。

各項目を事前に把握することが重要


手数料を巡るトラブルには、以下のようなものがあります。

 

・初回相談料を徴収された
・月額報酬を得ながら長期間放置
・着手金の払い損
・成功報酬は売却代金の●%と聞いていたが最低報酬金額が適用された

 

基礎知識として、まずは料金体系を理解しましょう。

M&Aの仲介においては、以下のような仲介手数料が発生します。ただし、会社によっては徴収しないケースもあります。

 

・相談料:初回面談費用(~1万円)
・着手金:初期手数料(100~500万円)
・中間報酬:基本合意契約締結時に支払う手数料(成功報酬の20%程度)
・月額報酬:毎月の手数料(20~200万円)
・成功報酬:(レーマン方式 ※最低報酬金額あり)

 

仲介会社を選ぶ際は、電話やホームぺージで問い合わせをし、料金体系をあらかじめ確認してください。特に相談料が発生するかどうかに注意しましょう。

料金は1万円ほどなので、大した金額ではないと考えるかもしれません。しかし、相談料を支払うとその場で断るのがムダになるように感じてしまいます。相談相手や会社に対して、ピンとこなかった場合もあるでしょう。相談料を支払ってしまうと、断りづらい心理状態に陥ることもあります。

 

重要度の高いのが着手金。これはM&Aが失敗しても戻ってきません。100万円程度の資金を失うことになります。

多くの仲介会社は、着手金を得てプロジェクトが動き始めると、数社紹介するのが普通です。しかし、交渉に乗り出すと厳しい条件を出されることが少なくありません。従業員の雇用を1年間しか保証しない、必要な事業のみの譲受を希望して負債を引き継がない、希望よりも大幅に安い金額を提示されるなどです。

これが納得できる条件で折り合えば問題ありませんが、それが不可能な場合は破談となります。

 

質の低いM&A仲介会社は、次の相手を紹介せずに放置してしまうことがあります。このようなケースで、月額報酬も支払っていれば、着手金とダブルで損害を被ることになります。

大手だから安心という考えは危険


大手のM&A仲介会社であれば安心と感じるかもしれません。確かに広いネットワークを構築しているためにマッチングの精度が上がる可能性はあります。

しかし、中小の仲介会社のような小回りを利かせた対応がしづらいのも事実です。顧客の要望や課題に耳を貸さず、複数社紹介して体よくマッチングすれば問題ないと考える担当者も少なくありません。

対応する顧客の数が多いため、一つひとつの対応に限界が出てしまうのです。

 

そのため、スムーズに進行しないプロジェクトは寝かされてしまう危険性があります。大手に頼んであとは待つだけで大丈夫だと考えるのは危険です。

進捗報告を求めて滞留しない努力をしましょう。

 

場合によっては別の仲介会社に相談することもおすすめします。

 

成功報酬を算出するレーマン方式にも注意してください。レーマン方式は、基準額に一定の比率をかけて成功報酬を算出するものです。

 

【経済産業省公表の「中小M&Aガイドライン」に記載されているレーマン方式の手数料】
・基準額5億円までの部分:5%
・基準額5億円超~10億円の部分:4%
・基準額10億円~50億円の部分:3%
・基準額50億円~100億円の部分:2%
・基準額100億円超の部分:1%

 

この基準額は株式価値基準、株式の売買額に役員借入金を足したオーナー受取額基準、オーナー受取額基準に銀行借入金を加算した企業価値基準、株式売買額に負債すべてを合計した移動総資産基準など、複数のパターンがあります。

この中では、移動総資産基準が最も高くなります。

どの基準を採用するのかは、必ず確認しましょう。

 

また、最低報酬額を設定している仲介会社がほとんどです。大手は1,000万円から2,000万円、中小で300万円から500万円程度に設定しています。

最低報酬額が適用されて見込んでいた金額とギャップが生じないよう注意してください。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。