高齢化帝国・日本はどうなる? ~2025年には、介護職員が34万人も不足!? 介護難民がますます増える時代に~
高齢化帝国・日本はどうなる?
~2025年には、介護職員が34万人も不足!? 介護難民がますます増える時代に~
1分で分かる! 介護業界の「今」
少子高齢化に伴い、介護サービスの需要は年々高まっている。
私と同年代である30代の友人知人も「会社勤めをしながら親の介護をしている」という話を
よく耳にするようになった。
日本の総人口は前年比29万人減(2020年9月時点)だが、
65歳以上の人口の割合は30万人増加していることが総務省の調査により判明した。
これにより、介護の現場の人材不足はより深刻化が増すことが予想され、
2025年には34万人の介護人材が不足するという試算もあるほどだ。
大手各社などは人材不足に対応すべく、外国人向けの新しい在留資格「特定技能」で
外国人材を受け入れる準備を始めている。
しかし、壁も厚い。
介護現場では専門用語を使用することも多いため、外国人材の受け入れには課題が山積しているのだ。
介護事業を知るために、まずは「基礎」を知ろう
介護事業の運営財源は、私たち国民が納める保険料だ。
国民が納める「介護保険料」と、国や自治体の「財源」を組み合わせて、
民間企業や社会福祉法人が訪問介護・デイサービス・有料老人ホームなどのサービスを提供している。
2000年の介護保険法の施行により、介護事業への民間企業の参入が進んでいる。
介護サービスを利用する高齢者は、自治体から要介護認定を受けて利用する流れとなっている。
親世代の介護を考えはじめる30代以降の働き世代にとって、
サービス利用の流れや介護事業の実態を早くから知っておくことの重要性は増していくだろう。
次の収益の柱となる「保険外収益」とは……?
2015年の改定により、大幅に介護報酬額が減少したこともあり、
介護各社が、次の収益の柱として力を入れているのが「保険外収益」である。
例えば、メイン事業が介護施設の運営であっても、平行して、以下のような事業に取り組んでいる事例も存在する。
・要介護者向けの旅行サービスの提供
・子会社の家事代行運営会社との連携による墓参り代行サービスなどの企画運営 など
保険収益だけに依存しない介護事業モデルを確率して、
介護事業の持続性を高める努力が必要となってきているのが現状だ。
業界勢力図
今回は介護サービス事業の大手をご紹介しよう。
まずは、訪問介護・デイサービスの最大手である株式会社ニチイ学館。
手がける事業は、医療事務・介護・教育の3つの柱で展開を行っている。
1)——————————
社名:株式会社ニチイ学館
売上:2,979億円(2020年3月期実績)
営業利益:121億6,200万円(2020年3月期実績)
従業員数:37,185名(2020年3月期実績)
平均年齢:42.3歳(2019年時点)
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そして、2社目にご紹介するのは、
株式会社ツクイホールディングスの関連企業である、株式会社ツクイ。
訪問介護や訪問入浴が主力事業である。
2)——————————
社名:株式会社ツクイ
売上:911億9,600万円(2020年3月期実績)
営業利益:39億7,200万円(2020年3月期実績)
従業員数:21,400人(2020年9月末時点)
平均年齢:42.7歳(2020年3月末時点)
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最後にご紹介するのは、保育関連事業でも大手の株式会社ソラスト。
2015年に創業50周年を迎えた同社は、翌2016年6月には上場を果たした。
3)——————————
社名:株式会社ソラスト
売上:957億1,900万円(2020年3月実績)
営業利益:54億6,500万円(2020年3月実績)
従業員数:29,936名(2021年2月時点)
平均年齢:43.5歳(2019年時点)
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介護業界の未来は……?
2025年には団塊の世代が75歳以上になることもあり、さらに少子高齢化が進むため、介護の需要も高まっていく。
それにともない、介護業界へ新規参入を検討する企業もますます増加するだろう。
また、経営者層の高齢化も進んでいるため、企業譲渡を検討する経営者も増加することが予想される。
買収したい企業・譲渡したい企業それぞれが増えることで、M&Aが活発化する可能性が高い。
参考資料
日本経済新聞社出版/業界地図2021年度版/厚生労働省HP
介護分野における特定技能外国人の受け入れについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
執筆者 武藤タケル
ライター(男性30代)
健康・政治・経済から、結婚式・葬儀・健康分野など様々な分野を得意とするライター。
趣味はキックボクシングと傾聴講座。様々な業界のM&Aに関するリアルを取材してお伝えします。