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IT・通信・システム開発 2022.3.30 配信

2022年はメタバース元年、マイクロソフトが8兆円でゲーム会社を買収

2022年はメタバース元年、マイクロソフトが8兆円でゲーム会社を買収

アクティビジョン・ブリザードを巨額買収した真意


2022年1月18日、Microsoftがアメリカの大手ゲーム会社Activision Blizzardを買収すると発表しました。前営業日の株価65ドルに46.1%のプレミアムをのせ、95ドルで買い取る意向を示しました。買収を終えるのは2023年6月。成立すれば8兆円もの巨額買収となります。この金額はゲーム業界全体でも史上最高額です。

Microsoftはゲーム機Xboxによるゲーム事業の2021年6月期の売上高が1兆8,000億円に上っており、OSやクラウドサービスに次ぐ収益柱としてゲーム市場に狙いを定めました。そしてこの買収最大の目的は、世界中で成長期待が高まる「メタバース」を強化することにあります。

仮想通貨によって様変わりしたデジタル空間の可能性


メタバースとは、アバターを使って人々が仮想空間で交流することを指します。厳密な定義はされておらず、Zoomを使っての会議やオンラインセミナーを行うことをメタバースと呼ぶこともあれば、人気ゲーム「フォートナイト」「マインクラフト」などのゲーム空間でプレーヤーが交流することを指すこともあります。

この分野の先駆けとなったのがMeta(旧:Facebook)。2021年10月に社名を変更し、メタバースを強く志向する姿勢を社名に刻み込みました。Metaはメタバースの特徴を次のように表現しています。メタバースは「ソーシャルプレゼンス」であり、それはデジタル空間で世界のどこにいようとも他の人と一緒であるような感覚です。

Metaは初期段階の構想としてHorizon Homeを発表しました。ヘッドセットを装着してHorizon Homeというデジタル空間に入って友達を招待し、動画の視聴やゲーム、アプリの世界を共に楽しむというものです。

実はこの仕組み自体は真新しいものではなく、インターネット黎明期の2003年6月にセカンドライフという仮想空間で人々が交流するサービスが登場していました。近年、メタバースが急速に注目を集めるようになった主要因に仮想通貨の発達と定着があります。

メタバースの経済的取引は仮想通貨が利用されます。2022年1月に暗号資産取引所に上場している暗号資産9,000種類のうち、メタバース仮想通貨は200種類あります。その1つであるDecentraland(通称MANA)は、2017年9月時点で1MANA2.7円でしたが、2022年1月時点で200円台まで上昇。100倍近く値上がりしていますが、高騰したのは2021年後半に入ってからです。メタバースで取引される期待感から高値で取引されるようになりました。

メタバース空間では土地や洋服を売買することが可能です。これらのデジタル資産はNFTと呼ばれ、唯一絶対のものであることがブロックチェーン技術によって保障されています。まるで現実世界のような取引がデジタル空間で行われるのです。これは全く新しい消費空間が生まれることを意味しています。

これこそメタバースが注目を急速に集めている理由です。メタバースを単なるデジタル空間であると判断するのは早計です。仮想通貨を通して巨額の取引をする場所を生みだす。MetaやMicrosoftの狙いはここにあります。AmazonやGoogleのように先行者の優位性を確保しようとしているのです。

メタバースの市場規模は2024年に90兆円を突破する?


アメリカの情報サービス大手ブルームバーグによると、ソーシャルメディアなどのメタバース周辺業界も含めた市場規模は55兆円。2024年には90兆円を突破する可能性を示唆しています。90兆円は日本国内の飲食料最終消費額に匹敵する規模です。1億2,000万人の食糧を支えるのと同じ規模の市場が誕生することを意味しています。

MicrosoftはActivision Blizzardの買収において、「モバイル、PC、コンソール、クラウドにおけるMSのゲーム事業の成長を加速させ、メタバースの基盤を提供する」とコメントしています。CEOのナデラ氏によると、「私たちはゲームをプレイしているのであって、ゲームの中にいるのではありません。しかし、今後はメタバースの会議室でミーティングをするようになり、文字通りゲームの中に入れるメタバースが日常生活の中で見られるようになる」とインタビューで語っています。

Activision Blizzardは世界中で大ヒットを続けている「コール・オブ・デューティ」という人気タイトルを保有しています。ナデラ氏の発言は、「コール・オブ・デューティ」の世界とMicrosoftが構築するメタバース空間を地続きにし、世界中のゲームプレーヤーをメタバースの中に取り込む狙いがあるとも捉えることができます。

ゲームの世界ではすでにメタバースに近いプラットフォームを提供しており、人々はそこでデジタル通貨を流通させています。その世界をビジネスや普段の生活へと広げようとしているというイメージが近いかもしれません。

日本企業も続々と参入


日本企業も注目の産業を見逃してはいません。

世界的なゲーム企業であるソニーは、イギリスのサッカークラブ「マンチェスター・シティ」と提携し、実際のスタジアムの様子をメタバース上に再現する計画を立てています。人気ゲーム機器プレイステーション用のVR端末を開発し、ゲームの世界に没頭できる仕組みも用意しています。

VR端末はパナソニックも開発を進めている分野です。「MeganeX」はパナソニックの100%子会社Shiftallが開発・販売している端末。組織の大きなパナソニック本体ではなく、子会社が取り扱うことによって目まぐるしく変化するメタバース産業に適応する体制を整えたと言います。「MeganeX」は長時間の使用に耐えられる軽量ヘッドセットで、超高解像度の映像体験ができることがセールスポイントになっています。価格も10万円以下で安価に収めました。

NTTドコモは顔の表情や動作をアバターで表現する技術を開発しており、KDDIは仮想空間バーチャル渋谷を展開しています。バーチャル渋谷は実際の渋谷という都市空間をメタバース上で表現するもので、サッカー日本代表戦のパブリックビューイングをバーチャル空間で公開し、100万人を集めた実績があります。

日本企業はプラットフォームの開発よりも、端末やメタバース空間で活かす技術開発に力を入れています。

 

【メタバース関連の主なM&A】

〇ブイキューブがNFTメタバースの米Anifieに出資
オンラインイベントや会議のサポートを行うブイキューブは、2022年2月にNFTメタバースのスタートアップ企業Anifie,Incに出資をしました。Anifieはバーチャルコンサートのスマートフォンアプリの提供などを行っている会社。メタバースにおいては、事業会社が保有するNFTコンテンツを組み合わせて独自に発展させる技術を持っています。この技術は日本を含めて特許を出願中です。ブイキューブは日本での事業化をサポートする計画です。

 

〇NTTドコモがHIKKYと資本業務提携に合意
NTTドコモが2021年10月VRイベント「バーチャルマーケット」を運営するHIKKYと資本業務提携に合意をし、65億円を出資しました。HIKKYは、VRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud(ブイケット クラウド)」や、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を主催しています。ドコモはVR、ARなどの技術を取り込んだXR市場の開拓に力を入れていました。今回の出資はドコモの顧客基盤及びXR関連事業をHIKKYのサービスと連携させることにより、双方の事業を発展させる狙いがあります。

 

〇ソフトバンクがネイバーゼットに210億円を出資
ソフトバンクグループが2021年12月韓国大手IT企業ネイバーの孫会社ネイバーゼットに総額210億円の出資を決めました。ネイバーゼットはメタバースプラットフォーム「ZEPETO」を運営する会社。ZEPETOは手持ちの写真でアバターを作成できるアプリで、メタバース空間で世界中の人々と交流することができます。ユーザー数は2.5億人で、巨大プラットフォームに成長しました。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。