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その他 2022.6.15 配信

アメリカの産業廃棄物処理の特徴と大手企業の動向を紹介

アメリカの産業廃棄物処理の特徴と大手企業の動向を紹介

半分以上が埋立処分をされる産業廃棄物


アメリカは産業廃棄物の排出量が多いにも関わらず、中間処理についての規制が厳しくありません。そのため、半分以上が埋立処理をされていると言われています。また、日本においては建築物などから排出される廃棄物は産業廃棄物として処理されますが、アメリカでは産業と一般の区別がありません。すべて一般廃棄物埋立処分場で処理されています。

環境省の「廃棄物処理技術情報」では、アメリカの埋立処分場施設は2,000か所あり、衛生埋立法に則って処分されているものの、破棄物が腐食するまでに時間がかかり、施設のランニングコストがかかることと、施設の処理能力が追い付かないことが懸念されていると警告しています。

廃棄物量が年々増加するアメリカ


2000年のアメリカの都市廃棄物排出量は2億3,190万トン。そのうちリサイクル量は5,340万トンで全体の23.0%程度に留まっています。3,370万トンが焼却されていますが、1億2,830万トンが埋立処分されています。

 

※環境省「海外の廃棄物排出状況と処理処分の特徴」より筆者作成

廃棄物の排出量は経済発展が目覚ましいアジアが圧倒しているものの、北米はヨーロッパやアフリカ、南米を抜いてその多さが際立っています。

これは経済成長と都市の廃棄物量には密接な関係があり、1人当たりのGDPとごみの排出量は相関関係があるためです。人口が多く、1人当たりのGDPが世界6位(2021年)と高い順位を保っているアメリカは必然的に廃棄物の量が多くなります。

アメリカは廃棄物の量が多く、埋立によって処分される割合が高い。そして排出量は経済発展に伴って年々増加することが見込まれている。この商環境がアメリカの廃棄物処理大手企業の規模拡大を狙ったM&Aを後押しし、寡占化を加速させました。

ウェイスト・マネジメントが22%のプレミアムをのせて競合を買収


ウェイスト・マネジメントは公共団体や企業、一般家庭の廃棄物を処理するアメリカのトップ企業。アメリカやカナダ、プエルトリコで廃棄物の埋立、ごみの回収、リサイクルサービスを展開しています。廃棄物処理施設の数は1,200を超えます。埋立地のシェアは47%と高い割合を占めています。

ウェイスト・マネジメントは2019年4月にアドバンスト・ディスポーザル・サービシズを30億ドルで買収しました。アドバンストは300万の顧客を抱える中堅企業。ウェイスト・マネジメントは1株に対して33.15ドルの買い付け価格を提示。22%ものプレミアムをのせました。一見、高額での買収のようにも感じますが、1人当たりのごみの排出量が世界で最も大きい北米では、2030年までに2016年比で排出量が18%も増えると予測されています。

ウェイスト・マネジメントは買収前の顧客数が2,200万。買収によって顧客数が13.6%増加することを考慮すると決して高い買い物ではありません。

事実、ウェイスト・マネジメントの売上高は、買収後の2021年12月期に前期比17.8%増の179億ドル、営業利益は同21.8%増の29億ドルとなりました。営業利益率は10%台後半を維持しており、極めて堅調に推移しています。

 

アメリカの廃棄物処理企業で業界第2位のリパブリック・サービシーズは、2008年6月に当時業界3位だったアライド・ウエイスト・インダストリーズを株式交換で買収しています。60億ドルという巨額のM&Aです。

また、リパブリック・サービシーズは、2022年5月にアメリカの再生可能天然ガス大手アーキア・エナジーと合弁事業を行うと発表しました。埋立地で発生するガスをパイプラインで輸送し、2030年までにバイオガスを50%再利用するという先進的なプロジェクトです。

再生可能天然ガスについては、ウェイスト・マネジメントも2022年から2025年にかけて8億2,500万ドルを投じ、バイオガスのインフラを拡充する計画を発表しました。

アメリカでは廃棄物処理企業の激しいM&A合戦が繰り広げられてきました。これからはバイオガスの再利用や、廃棄物そのもののリサイクルなど、新たな取り組みに向けた事業への投資が加速しそうです。

ごみ処理版Uberがユニコーンに成長


寡占化が進む廃棄物業界のゲームチェンジを虎視眈々と狙うスタートアップがあります。

ごみ業界のUberと呼ばれているのが、ルビコン・グローバル。2017年に時価総額10億ドルを突破し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。ルビコンはごみを収集する企業や行政機関と、ごみを捨てたい企業や一般家庭をアプリで効率的につなぐサービスを展開しています。

ごみを収集する事業者は、トラックやごみ処分場を持つ必要がないため、固定費がかからずコストを削減できます。アメリカのセブンイレブンを含む5,000社がサービスを利用しており、ルビコン・グローバルは依頼主と収集業者の両方から手数料を徴収することで、収益性を高めています。

2007年設立のルビコン・グローバルは、もともとは小規模なごみ回収業者が国の入札に参加できるバーチャル・マーケットプレイスを構築していました。そこからUberのように依頼主とごみ回収業者を直接つなぐプラットフォームへと進化しました。

小田急電鉄は2019年3月にルビコン・グローバルとサーキュラーエコノミー事業の立ち上げに向けて基本合意書を締結。ルビコンの技術やノウハウの有用性を日本国内で確認するための実証実験を開始しています。

 

アメリカでは参入するインセンティブが低いと言われていた、リサイクル分野に取り組むスタートアップも現れました。

ロサンゼルスを拠点とするByFusionは、プラスチックごみを使った建築用ブロック「ByBlock」を開発。独自の製造ユニットを使い、ペットボトルなどのプラスチックごみを蒸気で圧縮し、壁などに活用できる強度を持たせています。2030年までにアメリカの年間プラスチック生産量の約1/4に相当する1億トンのリサイクルを目標としています。

世界的にSDGsへの取り組みが本格化する中、廃棄物処理業界が抱える課題を解決するスタートアップはこれまで以上に増えると予想されます。

執筆者 コンサルタント/ライター フジモト ヨシミチ

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。
現在は中小企業を中心としたコンサルティングと、ライターとして活動しています。
得意分野は企業分析とM&Aです。