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M&A一般 2026.1.15 配信

買収後に待ち受ける試練~PMI~
M&A成立後の100日間のストーリー

序章


M&Aにおいて、デューデリジェンスの苦労など序章に過ぎない――そう感じる経営者は少なくありません。
真の試練は、契約が締結されたその瞬間から始まります。

PMI(Post Merger Integration)―それは、M&A成立後に行われる「統合プロセス」。
買収した企業と既存の組織を、ひとつの新たな企業体として機能させるための極めて重要なフェーズです。

では、統合の現場ではどのような現実が待ち受けているのか。
ここでは、大手製造業関西製作所社とITベンチャーREIWAシステムのM&Aを題材に、PMIの舞台裏で起きた“統合のリアル”をストーリー形式でお届けします。

1. 第一の試練(Day 1-7) 
~M&A成立―高揚と現実の狭間で~


1-1. ハネムーン期間の終焉

大手製造業、であり関西製作所よるITベンチャー企業、REIWAシステムの買収が完了しました。
お互い初めてのM&Aで、仲介コンサルタントのアドバイスを受けながらも、手探りのスタートでした。

異業種間のM&Aは両社に明確なメリットをもたらすはずでした。
関西製作所はDX化の加速という未来への切符を手に入れ、REIWAシステムは大手の傘下で潤沢な開発資金と充実した報酬体系、福利厚生のメリットを得る―まさにwin-winの構図。
REIWAシステム社長は、新事業に着手すべき退任することになりました。

調印後、両社のトップは笑顔で握手を交わします。
「シナジー効果による売上倍増」「win-winの関係」といった言葉が飛び交い、期待に満ちた雰囲気に包まれていました。

【登場人物】
■関西製作所 戦略企画部長:田中博人(たなか・ひろと)
40代半ば、。今回のM&AでPMI責任者に抜擢される。数々のプロジェクトを成功に導いてきた実績を持つが、今回の試練は想像を超えるものとなる。妻と小学生の娘がいる。

■REIWAシステム CTO:佐藤巧(さとう・たくみ
35歳。創業メンバーの一人でCTO(最高技術責任者)。卓越した技術力と先見性を持つが、組織の変化に強い警戒心を抱く。独身。

【譲渡スキーム】
■関西製作所によるREIWAシステムの吸収合併

このM&Aでは買収側のキーマンとして、PMI(統合プロセス))責任者に抜擢されたのが、関西製作所の戦略企画部長である田中でした。これまで数々のプロジェクトを成功させてきた実績から、この重要な役割を任されたのです。
しかし、期待に満ちたスタートとは裏腹に、統合初日から田中は厳しい現実に直面することになります。

1-2. 不安に満ちたREIWAシステム社員たち

REIWAシステムのオフィスを訪問した田中を迎えたのは、社員たちの不安と警戒に満ちた視線でした。
買収を突然知らされた社員たちの間では
「私たちの会社はこの先どうなるのか」「リストラがあるのではないか」「給料は下がるのか?今の役職はどうあるのか」といった不安が、社内の至る所でささやかれていたのです。

漏れ聞くところによると、M&A成立の情報が入ると同時に、転職サイトに登録した社員もいたようです。
この社員は、前社でもM&Aを経験し、その後の待遇や社内での立場が非常に悪くなったため、REIWAシステムに転職したという経緯がありました。

M&A成立―高揚と現実の狭間で

1-3.「なぜIT企業買収したのか」というA社社員の声

一方、関西製作所内部でも問題がありました。
長年の縄張り意識から、
「買収話など聞いてない」「なぜIT企業などを買収したのか」「我々の部署の予算が削られるのでは」
といった声が上がり、統合に対する協力的な姿勢は見られませんでした。

田中は、両社の間に立って、この困難な統合プロセスを進めなければならない立場に置かれたのです。

2. 第二の試練(Day 8-30):文化の衝突
~見えない壁との闘い~


2-1. 異文化のギャップ

統合開始から1週間が経過したころ、田中は両社の組織文化の違いが想像以上に大きいことを痛感し始めます。

創業70年の伝統的な日本企業の関西製作所

関西製作所では稟議制度が根付き、年功序列の文化が色濃く残っていました。
意思決定には複数の承認が必要で、複数の管理職の押印待ちの未決済書類が山積みになっており、簡単な決裁に1週間以上かかることも珍しくありません。
スマーフォトンをいじっていると、遊んでいると誤解されるような雰囲気が色濃く残っています。

創業10年のスタートアップ出身のITベンチャーREIWAシステム社

対照的にREIWAシステムはフラットな組織構造を持ち、意思決定のスピードが非常に速いのが特徴でした。
成果主義が徹底されており、若手社員でも能力があれば重要なプロジェクトを任されます。
オフィス内は、フリーアドレス、つまり、従業員が個々の固定席を持たず、オフィス内でその日の業務内容や気分に応じて自由に席を選んで働くワークスタイルなので、当然、ほとんどの書類はペーパーレスで対応していました。
コミュニケーションの多くはチャットアプリとオンラインミーティングで済ませます。
この文化の違いが、統合プロセスにおいて大きな障壁となっていきました。

REIWAシステムの強みは活かされるのか?

特に深刻だったのは、REIWAシステムの優秀な若手エンジニアたちが次々と退職を検討し始めたことです。
「関西製作所社の官僚的な手続きでは、市場の変化に対応できない」
といった不満の声が日増しに大きくなっていきました。

田中はREIWAシステム社の主要メンバーと個別に面談を重ねますが、そこで感じたのは 「本当に私たちの文化を尊重してくれるのか」という深い不信感でした。

言葉では「REIWAシステムの強みを活かす」と説明しても、実際の行動が伴わなければ信頼は得られません。

M&A成立―高揚と現実の狭間で

2-2. コミュニケーションの断絶

経営陣が発表する統合の方向性と、現場の実感との間には大きな温度差がありました。
本社から送られてくる「統合は順調に進んでいる」という報告資料と、田中が現場で見聞きする現実とは、まるで別世界のようでした。

PMI(統合プロセス)が逆行している!?

両社の「当たり前」の違いが、日々の業務の中で誤解を生み出していきます。
関西製作所の社員が「報告書を作成してください」と依頼すると、REIWAシステムの社員は簡潔なメールで済ませようとします。

一方、関西製作所社側は詳細な文書を期待しており、「いい加減だ」と感じてしまうのです。
逆にREIWAシステムの社員からすれば、「なぜそこまで形式にこだわるのか」と理解できません。
関西製作所手動の頻繁な対面の打ち合わせは、REIWAシステムにしてみれば、「時間の無駄」と感じてしまいます。

打ち合わせに出向時間、システム開発に当てたい、必要ならオンラインのミーティングでよいのでは?
と考えてしまいます。

「皆さんと一緒に最善の道を見つけたい」

この状況を打破するため、田中はタウンホールミーティングの開催を決断しました。
両社の社員を集め、統合の進捗状況や課題について、可能な限り透明性を持って説明する場を設けたのです。

初回のミーティングでは厳しい質問が相次ぎましたが、田中は誠実に答え続けました。
「すべての答えを持っているわけではありません。しかし、皆さんと一緒に最善の道を見つけていきたいのです」

という田中の言葉は、少しずつ社員たちの心に届き始めていました。

3. 第三の試練(Day 31-60)
~複雑なシステムと業務プロセスの統合~


3-1. デューデリジェンスでは見えない複雑性

統合開始から1か月が経過し、次なる大きな課題が浮上してきました。

それは、IT系統の統合における想定外の技術的負債の発覚です。
デューデリジェンスの段階では把握しきれなかった、REIWAシステムの管理システムの複雑性が明らかになってきたのです。

会計システム、人事評価制度、報告ラインなど、あらゆる業務プロセスが二重化している状態が続いていました。
これは一時的には仕方のないことですが、長期化すれば効率性を大きく損ないます。

M&A成立後の統合で大混乱

しかし、急速に統合を進めれば、現場の混乱を招く恐れがありました。
さらに深刻だったのは、REIWAシステム社の重要顧客からの懸念の声でした。

「関西製作所社に買収されて、これまでのような柔軟で迅速なサービスが受けられなくなるのではないか」という不安が広がっていたのです。実際に、一部の顧客からは契約の見直しを検討するという連絡も入り始めていました。
田中は、統合が顧客満足度に悪影響を与えてはならないという重圧を感じていました。

3-2. キーパーソンの離脱危機

試練はそれだけでは終わりませんでした。
統合において最も恐れていた事態が発生したのです。

REIWAシステムの創業メンバーの1人であり、技術部門を統括するCTO(最高技術責任者)の佐藤が、退職を示唆してきたのです。
佐藤はREIWAシステムの技術的な中核を担う人物であり、彼の退職はREIWAシステムの技術者たちの士気に大きな影響を与えます。

田中は何度も佐藤と面談を重ねました。佐藤の言葉は重く、田中の心に突き刺さりました。
「私たちが10年かけて築いてきた技術文化が、関西製作所のやり方に飲み込まれていくのを見ているのは耐えられません。このままでは、REIWAシステムが大切にしてきた『速さ』と『挑戦する文化』が失われてしまいます」

田中は、佐藤の懸念が正当なものであることを認めざるを得ませんでした。
確かに、関西製作所社の管理手法をそのまま適用しようとする動きがあり、それがREIWAシステムの強みを損なう可能性がありました。

田中は佐藤に対し、組織設計の見直しや、REIWAシステム社の技術部門に一定の自律性を持たせる提案を行いました。
「すぐに完璧な答えは出せませんが、一緒に新しいモデルを作っていきませんか」

と説得を続けました。

3-3. 現場からの反発

一方で、関西製作所社の管理部門からは「標準化」を急ぐよう圧力がかかっていました。
 経理部門は「会計処理を統一しないと決算が複雑になる」と主張し、人事部門は「評価制度をすぐに統合すべきだ」と求めてきます。
彼らの主張には一理ありますが、そのアプローチは往々にして「関西製作所社のやり方に合わせる」という前提に立っていました。

 REIWAシステムの現場からは、「効率化の名の下で、私たちの創造性が失われる」という反発の声が上がりました。
 特に、関西製作所が導入を進めようとしている詳細な工数管理システムに対しては、「イノベーションを生み出すためには、ある程度の自由な時間が必要だ」という強い抵抗がありました。

 両社の社員間の対立も表面化し始めます。会議の場でも、お互いの発言に対する不信感が見え隠れするようになりました。
田中は、このままでは統合どころか、組織が分断されてしまうという危機感を抱きました。

4. 第四の試練(Day 61-80)
~隠れていた問題の顕在化~


4-1. シナジー効果の遅れ

統合から2か月が経過し、本社から厳しい追及が始まりました。
当初計画していたコスト削減効果がほとんど出ていなかったのです。
重複する機能の統合や、スケールメリットによるコスト削減は、紙の上では簡単に見えても、実際には多くの調整と時間が必要でした。

さらに深刻だったのは、期待されていたクロスセル(相互販売)が全く進んでいないことでした。

関西製作所社の製造業顧客にREIWAシステム社のITサービスを提案する計画でしたが、営業部門同士の連携が取れておらず、具体的な成果はゼロに等しい状態でした。
本社の経営陣からは「本当にこの買収は正しかったのか」という疑問の声が聞こえ始めていました。

M&Aのシナジー効果は出ていますか

4-2. 隠れていた問題の顕在化

さらに悪いことに、デューデリジェンスの段階では見抜けなかった問題が次々と明らかになってきました。
 B社が開発を始めたプロジェクトの一つに、深刻な赤字案件が潜んでいたのです。
顧客との契約条件に無理があり、このままでは大きな損失を計上せざるを得ない状況でした。

また、一部の契約には、買収によって契約解除条項(チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項)が発動する可能性があることも判明しました。
法務部門が精査した結果、いくつかの重要な取引先との関係を見直す必要があることが分かったのです。

統合にかかるコストも、当初の予算を大幅に超過していました。
システム統合の複雑さ、コンサルタント費用の増加、そして何より現場の生産性低下による機会損失が積み重なっていたのです。

4-3. 田中の苦悩

田中は毎週、本社の経営会議で統合の進捗を報告しなければなりませんでした。

厳しい質問が飛び交う会議室で、田中は正直に課題を報告しますが、そのたびに責任を問う声が強まっていきます。「PMI責任者としての手腕が問われている」というプレッシャーは日増しに強くなっていきました。

激務の日々が続き、田中は家族との時間もほとんど取れなくなっていました。
夜遅くまでオフィスに残り、週末も統合に関する資料作成に追われる毎日。

妻からは「体を壊さないか心配している」と言われ、小学生の娘からは「パパ、最近全然一緒にいてくれない」と寂しそうな顔をされることもありました。

ある深夜、オフィスで一人資料を見ながら、田中は自問していました。
「本当にこの統合は正しかったのだろうか。もっと良いやり方があったのではないか」。
疲労と不安が、田中の心を蝕んでいきました。

5. わずかに見えた希望(Day 81-90)
~現場からの突破口~


5-1. 小さな成功体験

しかし、暗闇の中にも一筋の光が差し込み始めていました。
A社の製造ノウハウと社のIoT技術を融合した新プロジェクトが、ようやく具体的に動き出したのです。

このプロジェクトは、両社の若手メンバーが自主的に立ち上げた混成チームによるものでした。
関西製作所社の生産管理に詳しい若手社員と、REIWAシステムのIoTエンジニアがタッグを組み、工場の生産性を可視化するシステムを開発したのです。

最初は小さな実証実験でしたが、その効果は予想以上で、生産性が15%向上するという結果が出ました。

このプロジェクトに参加したメンバーたちは、お互いの強みを認め合い、「一緒にやれば、こんなことができるんだ」という実感を持ち始めていました。
彼らの成功体験は、徐々に周囲にも広がっていきました。

5-2. 信頼関係の萌芽

この成功をきっかけに、大きな転機が訪れました。
退職を示唆していたREIWAシステムのCTO佐藤が、田中を訪ねてきたのです。

佐藤は穏やかな表情で言いました。「田中さん、私はもう少しだけこの統合を見てみたいと思います。完璧ではないけれど、あなたは本気で両社の良さを活かそうとしている。それが分かりました」

佐藤の心を動かしたのは、田中の誠実な姿勢と、若手たちが自主的に作り上げた成果でした。
トップダウンで押し付けられるのではなく、現場から自然に生まれた協力関係が、未来への希望を感じさせたのです。

また、統合プロセスの中で、両社の社員が協力して危機を乗り越えた経験も、信頼関係の構築に貢献していました。
あるシステムトラブルが発生した際、関西製作所とREIWAシステムのエンジニアが徹夜で協力して対処したことがありました。

その時に生まれた連帯感は、組織の垣根を越えたものでした。

田中のリーダーシップも、徐々に浸透し始めていました。完璧な答えを持っているわけではないけれど、誠実に向き合い、現場の声に耳を傾け、時には本社と対峙してでも現場を守ろうとする姿勢が、社員たちの信頼を得始めていたのです。

6. 新たな出発へ(Day 91-100)
~100日目の真実~


6-1. 統合計画の再構築

M&A統合計画の再構築

統合開始から90日が経過し、田中は大きな決断を下しました。
当初の「REIWAシステムを関西製作所に吸収する」というモデルを根本から見直し、「共創」モデルへと転換することを提案したのです。

これは、両社の強みを活かしながら、新しい組織文化を作り上げていくというアプローチでした。
具体的には、REIWAシステム社の技術部門には大幅な自律性を持たせ、独自の意思決定プロセスを維持することを認めました。

一方で、管理部門やバックオフィス機能については段階的に統合を進めますが、そのスピードは現場の受け入れ態勢に合わせて調整することにしました。

この提案には、関西製作所社の一部の幹部から強い抵抗がありました。「それでは統合の意味がない」「コスト削減効果が出ない」という批判が噴出しました。
しかし田中は、短期的な効率よりも、長期的な価値創造が重要であることを粘り強く説明しました。

6-2. 100日報告会

統合開始から100日目、田中は経営陣へのプレゼンテーションに臨みました。
会議室には、関西製作所社の社長をはじめとする経営陣が並んでいます。

田中は、これまでの経緯を正直に報告することから始めました。
「当初計画していた数値目標は、残念ながら達成できていません。

しかし、それは失敗ではなく、私たちがより本質的な課題に向き合った結果です」田中は、組織文化の違い、現場の抵抗、そして徐々に芽生えてきた協力関係について、率直に語りました。

「PMIは100日で完了するものではありません。これは始まりに過ぎないのです」田中の言葉は力強く、そして説得力がありました。
「短期的な数字を追い求めるあまり、両社の社員を失い、顧客を失い、最も大切な『未来を創る力』を失ってしまっては意味がありません」

田中は、若手たちが自主的に立ち上げたプロジェクトの成功事例を紹介し、これこそが真のシナジー効果だと主張しました。
「数字は後からついてきます。まず、人と人の信頼関係を築くことが最優先です」

会議室は静まり返っていましたが、社長がゆっくりと口を開きました。「田中君、君の提案を支持する。短期的な数字に焦るあまり、本質を見失ってはいけないね」

6-3. 新たな出発

100日目の報告会を経て、統合は新たなフェーズに入りました。
田中は両社の全社員を集めて、統合後の新しいビジョンを発表しました。

「私たちは、製造業とIT技術の融合によって、顧客に新しい価値を提供する企業グループを目指します。
そのためには、関西製作所社の『ものづくりへのこだわり』とB社の『スピードと革新性』の両方が必要です」

新しい企業文化の方向性として、「スピードと品質の両立」「階層を超えた対話」「失敗を恐れない挑戦」という3つの価値観が掲げられました。

これは、両社の良さを融合したものであり、どちらか一方に寄せるのではなく、新しいものを創造するという意志の表れでした。

まだ多くの課題が残っていることは誰もが認識していました。
システム統合は道半ば、業務プロセスの最適化もこれから、そして何より、組織文化の融合は一朝一夕にはいきません。

しかし、会場には前向きな空気が流れ始めていました。
REIWAシステム社のCTO佐藤は、田中に歩み寄ってきて言いました。

「田中さん、私たちと一緒に新しい未来を作りましょう」その言葉は、100日間の苦闘が無駄ではなかったことを示していました。

M&Aのシナジー効果は出ていますか

7. エピローグ:終わりなき旅の始まり


中小企業の場合、多くのM&Aでは、吸収合併する場合でも、いきなりというよりは、観察機関を置いて、数年後に合併という形をとる場合が多いものです。

今回のM&AではREIWAシステムの規模が小さいため、1事業部を吸収する感覚で、いきなりの吸収合併を行ったため、異文化同士の衝突が生じてしまいました。

統合開始から120日目、最初の統合後四半期決算が発表されました。
数字は劇的ではありませんが、確実にシナジー効果が現れ始めていました。

当初の目的でもあったDX化の加速と共同開発プロジェクトによる売上増加、そして徐々に実現しつつあるコスト削減。それらは小さいながらも、着実な前進を示していました。
より重要なのは、組織の雰囲気が変わってきたことです。

M&A成立―高揚と現実の狭間で

関西製作所とREIWAシステムの社員が一緒にランチを取る光景が増え、会議でも活発な意見交換が行われるようになりました。
お互いの強みを認め合い、弱みを補完し合う関係性が、少しずつ形成されつつありました。

田中には、さらなる挑戦が待っていました。
統合の深化、新規事業の立ち上げ、そして他のグループ会社との連携強化。

PMI責任者としての役割は、100日では終わらないのです。

ある日、田中は久しぶりに早く帰宅し、家族と夕食を囲みました。
娘は嬉しそうに学校での出来事を話し、妻は温かい笑顔で迎えてくれました。

「やっと一息つけたね」という妻の言葉に、田中は首を横に振りました。
「いや、これからが本当の勝負だよ。でも、今は前向きに進めている実感がある」

翌朝、オフィスに向かう電車の中で、田中は窓の外の景色を眺めながら思いました。

PMIは終わりなき旅だ。でも、その旅には意味がある」。

100日間の試練を経て、田中は確信していました。
M&Aの成功は、契約調印の日ではなく、その後の地道な統合プロセスにこそ懸かっているのだと。

 新しい組織の未来へ向けて、田中の挑戦は続いていきます。
困難は尽きませんが、それでも前に進む価値がある。

 なぜなら、そこには人々の成長があり、新しい価値の創造があり、そして未来への希望があるからです。
PMIの真の意味は、単なる統合ではなく、新しい可能性を切り開くことなのだと、田中は実感していました。

M&A allのPMI対策


M&Aの成功は契約締結ではなく、その後のPMI(統合プロセス)にかかっています。
綿密な計画、迅速な実行、継続的なコミュニケーションが、企業価値最大化への道を開きます。

契約締結後の100日がPMIプロセスの成否を分ける時期でもあり、そのたの事前の計画と準備が非常に重要となります。
デューデリジェンスでは見えず、M&A成立後に判明することも多々あります。例えば、買収先の従業員の心の中は、M&A完了の発表後に初めて発覚するものです。

PMIのポイントについては、こちら(https://ma-all.net/column/small-business_pmi_ma/)でご紹介しております。

M&A allでは、クロージング後の社員への説明会の実施までをお手伝いします。
従業員へ告知する社長にトレーニングをして、開催日も事前に決めて、過去に社員からどのような声が上がったのかを共有します。

また、PMIノートもお渡しをして、両者の決済の流れやITシステムなどの流れを管理的にシミュレーションしますので、スムーズに文化やシステムの融合を行いやすくなっております。

執筆者 経営支援・WEBコンサル・WEBコンテンツライター 白河 真琴

中小企業の経営のサポートの経験を活かしながらコンテンツライターとして活動中。
自身の会社のM&Aの経験から企業法務やM&A関連の執筆を中心に行っています。