<ミネベアミツミがホワイトナイトに>芝浦電子のまわりで、風がざわざわしている

大切な技術と、見えない手のゆくえ
芝浦電子という名前を聞いたとき、ほとんどの人はピンとこないかもしれない。
けれどこの会社、私たちの身の回りの体温計やエアコンの中で、しっかりと「温度を感じる」仕事をしてくれている。そんなセンサーをつくってきた、まじめな町工場のような存在だ。
はじまりは、静かな会社に届いた知らせ
そんな芝浦電子に、ある日、外国の大きなYAGEOという会社が「うちの仲間にならないか」と言ってきた。
それは「買います」というより、もう少し強引な「買わせてもらいます」に近かった。株式公開買付け――TOBっていう仕組みを使って。2025年2月に1株あたり4,300円でのTOBを提案したのだ。
どうしたらいいのかと芝浦電子は悩んで、別の会社に助けを求めた。
その名はミネベアミツミ。こちらも、あまり知られていないけれど、いろんな精密部品をつくっている会社だ。
「日本の技術を守る」なんて、ちょっと照れくさいけど
ミネベアミツミの会長さんは、言った。
「これは、天から降ってきたチャンスだと思いました。」
ちょっと大げさにも聞こえるけれど、まっすぐな言葉だった。
芝浦電子がもっている温度センサーの技術が、外国へ流れてしまうかもしれない――そんな心配もあったという。
それで、ミネベアミツミは芝浦電子に対して、丁寧に「一緒にやっていこう」と手を差し出した。温度センサー技術が自社の事業と高いシナジーを持つと判断し、1株あたり4,500円でのTOBを提案したのだ。
だけど話はここで終わらない。最初に「うちに来ないか」と言ってきた外国企業も、また値段を上げてきた。4月17日にTOB価格を1株あたり5,400円に引き上げたのだ。
まるで芝浦電子という小さな舟を巡って、大きな波が行き交っているみたいだ。それでも、芝浦電子の人たちは、言った。
「やっぱり、信頼できる相手とやっていきたい。」
きっと今も、会議室の中ではたくさんの書類と、静かな葛藤が並んでいる。ネベアミツミは当初予定していたTOBの開始を延期して、価格の再検討を行い、5月1日に5,500で提案した。
テレビにも出ない会社の、知られざる攻防。
だけど、その向こうには、「自分たちの手でものをつくる」という、ささやかだけど大事な願いがある。
そして今日も、センサーは温度を測っている。私たちが気づかないところで、確かに、やさしく。

執筆者 AI×編集部
この記事は、AIの分析力と人の洞察力が融合して生まれました。テクノロジーと経験が織りなす深い知見をお楽しみください。内容の真偽については編集部が確認しておりますが、完全な保証をするものではありません。