中小企業M&Aは融資で効率的に進めよう ～銀行・日本政策金融公庫の融資制度～

近年、中小企業のM&A（事業承継や買収）が活発化しています。ただ、資金調達がハードルになりがちなのも事実。実は、銀行や日本政策金融公庫（日本公庫）からM&A資金の借り入れができることをご存じでしょうか？今回は、中小企業向けの融資制度について、ポイントを分かりやすくご紹介します。

銀行融資：数千万円～数億円も可能！ただし自己資金とPMI計画がカギ

銀行では、地方銀行や信用金庫を中心に、M&A資金の融資を積極的に行っています。
借り入れの条件は、買い手企業・売り手企業の財務内容が健全であり、買収後の統合計画（PMI）がしっかり立てられていることが重要です。

また、自己資金も総額の20～30％程度求められるケースが一般的。融資額は案件により異なりますが、数千万円から数億円規模にもなります。
金利は通常の事業資金よりやや高め（年2～4％台）、返済期間は5～10年が標準です。最長でも20年でしょう。

日本政策金融公庫融資：低金利・長期返済でM&Aをサポート

一方、日本政策金融公庫では、「事業承継・集約・活性化支援資金」という専用融資枠が用意されています。中小企業同士のM&Aや事業承継を支援するもので、最大7,200万円（うち運転資金4,800万円）まで借り入れが可能です。特別枠や資本性ローンを併用すれば、さらに資金を厚くすることもできます。

金利は年～2％台と非常に低く、設備資金であれば返済期間は20年以内と、長期返済にも対応。特に、事業計画がしっかりしていれば、融資審査も前向きに進められます。M&A資金を公的サポートで調達したい中小企業にとって、強力な選択肢になるでしょう。

地域経済の維持や発展を目的とした中小企業向けの融資では、直接貸付上限が14億4,000万円のものもあります。中期的な事業承継を計画し、現経営者が後継者とともに事業承継計画を策定していることなどが条件です。