【M&Aは失敗が最高のヒント 売り手編】 属人的な会社がもたらす深刻な後継者不足

会社を売る、あるいは譲るという決断は、経営者にとって一生に一度の大きな選択です。特に中小企業におけるM&Aでは、「後継者がいないから」「事業の成長を次の世代に託したい」という理由で譲渡を希望するケースが多く見られます。

ところが、その道のりは思ったよりも険しくなることが少なくありません。原因のひとつが、「オーナーに過度に依存した経営スタイル」にあるのです。

オーナーがすべてを握る会社は、買い手にとってリスクに見える

中小企業では、オーナーが経営の中心となっていることが一般的です。商品開発から営業、人事、資金繰りに至るまで、すべての意思決定がトップ一人に集約されている――そんな企業は決して珍しくありません。しかし、M&Aを検討する際、この“オーナー依存型”の経営が大きな壁になります。

なぜなら、買い手からすれば「オーナーがいなくなったあと、この会社は本当に回るのか？」という不安が拭えないからです。いくら財務諸表が健全でも、従業員に権限移譲がなされておらず、業務の属人化が進んでいると、事業の継続性に疑問符がつきます。

「企業価値」とは、数字だけでは語れません。むしろ、日常業務がどれだけ組織として機能しているかが、買い手にとっての安心材料なのです。

PMIの壁――“社長がいなくなった会社”で混乱が起きる

仮に買い手が見つかったとしても、次なる難関が「PMI（Post Merger Integration）」です。つまり、買収後にいかにスムーズに統合を進められるかというフェーズ。ここでオーナー依存型企業は特に苦労します。

引き継ぎの際、業務マニュアルが整備されていない、キーマンが不在、社内文化が「社長の一声で決まる」状態から脱却できていない――こういった要素が重なると、買収後の混乱は避けられません。社員が戸惑い、モチベーションが下がり、退職が相次ぐケースもあります。

ある中堅製造業では、オーナーが売却後すぐに退任した結果、営業部門が「次に誰の指示を仰げばいいのか」が分からず、案件進行が止まりました。結果として受注が激減し、買収企業側が数千万円規模の減収リスクを抱える羽目に。

PMIは、単なる“後処理”ではなく、M&A成功の最重要プロセスです。そしてそれは、売り手側の準備――すなわち「組織化」や「権限移譲」なくして成立しません。

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事業承継に悩んでいて、属人的な組織であることが課題になっているのであれば、M&A仲介会社に一度相談してください。

豊富な実績を持っている会社であれば、最適なアドバイスを行うことができます。例えば、売却後に顧問などとして残り、十分な引継ぎ期間を設けるなどの提案ができます。

M&Aオールは経験豊富なコンサルタントが多数在籍し、特定の業界に対する知見も持ち合わせています。トップ面談の数は業界内でもずば抜けて多く、オーナーの満足度を高める努力を重ねてきました。

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